オランダからこんにちは!#8 ‐新型コロナウイルス編‐
読者のみなさん、こんにちは。
今週は緊急企画ということで、世界各地で猛威を振るっている新型コロナウイルス(COVID-19)のオランダでの状況をお伝えしたいと思います。
*感染者数・死亡者数*
3月26日現地時間14:00時点でオランダでの感染者数は7431人、感染により亡くなった方は434人にのぼります。やはり高齢の方や基礎疾患がある方が主に犠牲になっているようで、オランダで亡くなったのは現時点では全て50歳以上の方でした。
ただし、若い年齢の人でも重症化する可能性は充分にあります。私が昨日読んだ記事でも、イギリスで基礎疾患のない21歳の女性が亡くなったと書かれていて、ショックを受けました。間違っても「若いから平気、健康だから平気」と思い込まないようにしましょう。(*自戒の念も込めて)
*生活全般と新しいルール*
先週金曜日(3/20)の私の担当記事の冒頭でも、オランダ国内の様子をお伝えしましたが、あれからさらに追加の施策が政府から出されました。ここまでのオランダ政府の対応、明確で迅速です。その甲斐もあってか、オランダでの感染者増大のカーブはピークを過ぎ、少しずつ緩やかになってきてはいますが、まだまだ予断を許さない状況が続いています。
オランダでは、3月15日18時からレストランやカフェ、ジムなどの施設が一斉に閉鎖され、3月16日からはすべての学校が休校となりました。この状況下での不必要な人の往来を避けるため、出勤が必要不可欠な職種(※医療・警察・物流など)以外では、リモートワークの指示が出ています。当初、この措置は4月6日まで(※延長の可能性あり)とアナウンスされましたが、3月23日の政府の会見でやはり延長が発表されました。
○1.5mルール○
「オランダにいるすべての人は家族以外の他者との間に1.5メートル以上の距離を空けて、接触しないようにしましょう。」というルールが発表されました。例えば、外に出ている時もそうですし、食料品をスーパーや市場で買う時もそうです。できるだけ他者と触れないようにするため、買い物や宅配での食べ物の受け取りの際は普段は現金を取り扱っているお店でも現金を使わずに、先週の記事でお伝えしたPinpasやクレジットカードで事前に払うようになっています。
○集まることの禁止○
屋内・屋外問わず、家族以外の人と3人以上で集まって行動することが禁止されました。また、全ての集会やイベントも6月1日まで禁止されました。街には買い物や散歩・ランニングをしている人、食べ物の宅配に向かう店員や宅配業者以外、本当に誰もいません。空っぽです。イタリアやスペインなど急激な感染爆発によって医療崩壊を起こしてしまった国の惨状を目の当たりにして、オランダに住む人々に責任感や危機感が出ている証拠だと思います。
*ルール違反時の罰金*
当初、罰金の設定はなかったのですが、3月23日に追加された施策のひとつとして、高額の罰金が設定されました。1.5mルールや家族以外の3人以上でのグループ行動の禁止ルールを破った場合、1人あたり最大€400(※日本円にして約4万8000円)の罰金が科されます。政府の本気度、事の重大さがここからも伺えます。
*緊急警報 NL-Alert*
Photo:ZO!34
3月22日、突然携帯から緊急警報のアラートが鳴り響き、びっくりしました。日本にお住いのみなさんにはおなじみの緊急地震速報的な警報です。
コロナウイルスの蔓延を防止するための主要規則を人々に思い出させるため、オランダ国内の全ての携帯電話端末宛てにNL-Alertと呼ばれる警報が送信されました。 警報は、ハーグにある国家危機センターからオランダ中に送られたそうです。 警告文には、
「政府の指示に従ってください:1.5メートルの距離を保ってください! 病気や風邪をひいていますか?そうであれば、家にいてください。 あなた自身とあなたの周りの人々を守ってください。 コロナに対して共に(闘いましょう)。 (※英語で)他人との距離を保ってください。」
と書かれています。日本と違い、携帯から鳴り響く緊急警報に慣れていないオランダの人たちには結構な衝撃だったようです。
*出国・入国*
3月19日現地時間18時以降、EU加盟国とシェンゲン協定国以外の国や免除カテゴリーに該当する人を除いて、日本を含む第三国からオランダに入国することは禁止されています。現在、第三国から来てオランダに滞在している観光客や旅行者にも速やかに出国するようにとの指示が出ています。
また、オランダから日本への飛行機も、週7あった定期便が週1~2回に減便されています。日本からの駐在員の人たちは、日本の本社から緊急の帰国命令が出ているようで、続々と日本に帰っています。正直に言うと、個人的には今の状態の日本の都心部や大都市圏に帰る方がリスクがあると思います。。大人数でのイベントは中止にしているものの、それ以外では普通通りに暮らしている人が多いようで、これから爆発的な感染拡大が起こらないかどうかとても心配です。どうか拡がりませんように!
ただ、タイ担当のKOHEYさんが昨日の記事で書かれていたように、異国の地での心理的・経済的なリスク、その他諸々を考えると帰る他ないのも事実ですよね。先の状況が全く読めないのが、今回のコロナウイルスの件の厄介さの1つでもあると思います。
*オランダ政府の経済対策*
オランダ政府は、一連のコロナウィルス被害に対応するため、国として900億ユーロ(日本円で1兆800億円)という大規模の経済支援を行う用意があるそうです。すごい規模ですね。また、納税の延期も可能のようです。
リモートワークの指示を出した直後のかなり早い段階で、この影響で経済的な損出がある会社やフリーランサーを含む自営業者に具体的な経済支援策があることも発表してくれました。それによると、①コロナの影響を受けた会社が従業員に給料が払えなくならないように賃金の9割を政府が負担、残りの1割を会社側が負担し、②自営業者にも最低所得補償という形で、毎月約20万円を上限として3ヵ月間お金が支払われます。もちろん正当な手続きを踏まないといけませんが、このお金は返済不要とのことです。
お肉の商品券とかお魚の商品券とか…コントか!というレベルのお粗末な議論を展開しているどこかの国の政府には、色々と考え直してもらいたいなと思ってしまいました。政治家に必要な想像力とか国民を思う気持ちなど、基本的な所が欠けている気がして外から見ていて残念ですし、なんだか悲しいです。。。
*マルク・ルッテ首相によるスピーチ*
3月16日、オランダのマルク・ルッテ首相が国民に向けてスピーチを行い、その様子が生放送されました。オランダが国としてどのような姿勢でコロナウイルス対策を進めていくのか、また指示された様々な対策がどうして必要なのか、いつもの首相らしく冷静に国民に伝え、そしてこの危機をみんなで乗り越えましょうという強いメッセージがありました。スピーチの全文は英語で読めますので、気になった方は下のサイトから読んでみてください。
*ウィレム‐アレクサンダー国王によるスピーチ*
3月20日には、現オランダ国王からも国民の気持ちに寄り添った温かいスピーチがありました。「コロナウイルスの拡大を止めることは難しいが、孤独というウイルスは(私たちの思いやりで)止められる。」という、自宅から出れない生活に苦しんでいる人々へ向けた言葉が印象的でした。王様のスピーチの全文も英語であれば読めますので、気になった方はこちらのサイトから読んでみてくださいね。
©ANP
*まとめ*
3月16日からほぼ家から出れない生活がここまで2週間弱続いてよく分かりましたが、終わりが見えないこの生活、予想以上につらいです。。ただ、テレビや色々なメディアを通じて、人々が周りの人のことを気にかけながら、できる限りの範囲で助け合っている様子が日々取り上げられているのを見て、励まされています。それもいくつかシェアしたかったんですが、すでに長い記事になりましたので、別の機会に紹介できればと思っています。
この状況の中で自分にできることって何かないのかな…と悶々とすることもありますが、まずは目の前のできること、つまり「家から出ないルールをしっかり守って、感染をこれ以上拡げないようにすること」を徹底するしかありませんよね。普段よりたくさん散歩に出かけるようになって、いつもなら気付かないような、街にある小さなことや変化に気付いて嬉しくなったり、歩いたことのなかった可愛い通りを見つけてテンションが上がったりと、良いこともありました。そういう小さな幸せを見つけられるように、常にアンテナを張っておこうと思います!
コロナ危機の間、つらい時期が続きますがみんなで乗り越えましょう!
最後に、散歩中に撮った夕方の街の風景をシェアして終わりにしたいと思います。今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
それでは、また来週ですね。Tot ziens!
明日は、ボリビアの状況をまゆうさんが教えてくれます。ボリビア、大丈夫ですかー?
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