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[書評]アシュター・保江対談(テンプル騎士団の注を付記)

オリオン大戦の因果がここにも

一言で要約すれば、シリウスの側から地球人に伝えたい内容を盛込んだ本。したがって、今はシリウスと良好な関係にあるリラについても本当は〈嘘の達人〉であると断じている(231頁)。

このような内容から察せられる通り、従来の保江氏の著作とはトーンも細部も異なる。実際、本書は保江氏の著作とは言えない。奥付には〈ライティング・編集——江國まゆ〉と明記してある。発言の分量も、保江氏は全体の3割ほどだろうか。残りはすべてアシュター(シリウス宇宙連合司令官)/江國まゆ氏の発言である。

このような出版形態を保江氏が許容したのは、ひょっとすると、保江氏が個人的にアシュターに肺を治してもらったからかもしれない。

そのとき、アシュターは〈まるでアメリカインディアンの呪い師のように片足でドンドンと激しく体を踏み鳴らしながら、右手を大きく振って何かを祓ってくれているような動作〉をしたという(10頁)。

これに対する感謝の意をこめて本書が出来上がったことを、保江氏は〈この本は、僕を助けてくれたアシュター司令官への恩返しとして、彼から教えてもらった驚くべき真実の数々について、できるだけ多くの皆さんにお伝えするものとなっています〉と記す(18頁)。

ここで保江氏は「真実」という言葉を使っている。本書の帯に「アシュター、ありがとう、本当のことを言ってくれて。人類の皆さん、これが真実です」と書いてあることを想起するが、この帯の言葉は保江氏でなく江國氏の言葉である。

本書の内容が〈真実〉であるとすると、保江氏のこれまで伝えてきた内容(の一部)は〈嘘〉あるいはそれとは矛盾する内容ということになる。

このような、やや複雑な成り立ちが本書には垣間見える。その原因は、あるいは遠因は、本書でふれられる〈オリオン大戦〉にあるのかもしれない。これほどの戦は長く影響あるいは禍根を残し、保江氏が指摘する通り、〈宇宙種族も、まだ渦中〉ということなのだ(231頁)。

知る限りでは、日本語オリジナルでオリオン大戦に詳しくふれた書は本書が2冊めだ。1冊めは2023年7月7日に刊行された『あなたは、この地球に何をしに来たのか。』で、2冊めが2023年9月26日に出版された本書だ。2023年はオリオン大戦についての情報開示の年なのかもしれない。

本書で注目すべき内容は、第三部の1「イエスとマリアの旅路」の章だ(180-196頁)。ここでアシュターが伝える内容は、従来、保江氏が著書などで述べてきた内容と異なる。対談で保江氏は特に反論をしていないが、あるいは異論があったとしても江國氏が編集で省いたのかもしれない。

アシュターによれば、〈レビ族の女性がマリア〉(190頁)。マグダラのマリアの血脈を守るテンプル騎士団が〈最終的に居住したのはやはり、スコットランド〉だという(193頁)。南フランスでなくスコットランドだというこの説は従来からある。

イエスのほうは、アシュターによると、マリアと別行動をとり、〈中近東を通って日本に〉逃げ、〈青森県八戸のあたり〉に来たという。八戸の西にある〈戸来にて百八歳迄生きた〉との記述が『竹内文献』にある。

全体を通して、内容にやや違和感があり、後味がすっきりしない読書となった。帯には〈最重要事項多数〉と謳われているが、目ぼしい収穫はなかった。ざっと2回読み、見落としたことがないか確認したが、まだ見つからない。今後の再読で何か出てくるかもしれない。

【付記】テンプル騎士団について
上記にふれたテンプル騎士団とイエスの旅路との関わりについて、ちょっと注記しておく。

1119年……テンプル騎士団 創設
1307年10月13日(金)……テンプル騎士団会員 一斉逮捕
1319年……キリスト騎士団 創設(テンプル騎士団が改名)
1344年(1348年)……ガーター騎士団 創設(キリスト騎士団のグループが結成)

テンプル騎士団は第1回十字軍(1096年)後、エルサレム巡礼者を保護するために設立されたが、別に「磔刑後に生きていたイエスが訪れたという噂がある場所があればそこを調査し、事実であれば亡骸を持ち帰れ。あるいは子孫がいたなら連れ帰れ」という任務があった。

テンプル騎士団の調査は世界中におよび、日本も含まれていた。〈イエスが20代をすごしたといわれる東北地方、具体的には青森県や秋田県のあたりを集中的に調べた〉という。
(以上の注記は拙文からの引用)

#保江邦夫 #アシュター #マリア #イエス #スコットランド

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