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論壇と真理

某月某日。

論壇誌を読んでいて気づくことがある。ある一定の傾向に染まった雑誌は別として、多様な立場の論考を載せている雑誌を読むと、読者は、あたまを鍛えられる。ひとつの物事をさまざまな角度から眺めることになるからだ。

たとえば歴史家が〈感染症は文明・文化を変えうる〉と書いたとする。歴史的にいろいろな事例を挙げられると、確かにそうかもしれないと思わされる。ひるがえって、現在の SARS-Cov2 ウイルスの場合はどうか。同じようなことが起こるかもしれないと誰でも考える。

その際に、ナショナリズムにはだから限界がある。これからは国益の立場を超えて、別の解を見出さねばならない、などと言われると、うっかり信じそうになる。だが、それが果たしてグローバリズムでよいのか。むしろ、グローバリズムこそが感染症の国際的拡がりを招いたのではないのか。

感染症に国境がないのはその通りだ。もうひとつ、明白に国境がないのがサイエンスだ。チャイナは今回の感染症勃発の初期からウイルスの遺伝子情報を直ちに世界の科学者向けに公開した。科学の追求に国境はない。

これはどういう意味か。真理を追求する立場に国境は関係ないことを意味する。

では、その真理と、各国・各民族に固有の伝統や価値観とが対立する場合はどうなるのか。科学の場合は、あくまで仮説であるから、そちらが絶対的優位にあるとは言えない。しかし、真理はどうか。真理こそは人を自由にする。そう信じねば、真理の追究など、やってられない。つまり、真は信の支えが要る。それなしには、真理の追究ができない。

#真理 #科学 #サイエンス #感染症 #国益

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