[書評]新・日本列島から日本人が消える日(下巻)
ミナミAアシュタール『新・日本列島から日本人が消える日』(下巻) (2019)
〈ここからが本題〉と、エピローグで宣言され、ドキッとする。
幕末から現代までの歴史を、戦争のくわしい経過などをまじえて語ったあとである。読者はお腹いっぱいになっている。ところが、そこまでは、いわば前置きにすぎず、本題はこれからというのだから、驚く。
読んでみると、それは本当だった。著者たちが一番つたえたいことはこのあとに出てくる。
それを一言であらわすなら、好きなことをして、楽しく、ご機嫌さんに暮らして、ということになる。
何じゃそれはと、多くの人が思うことは承知している。しかし、ものすごい重みの負の歴史のあとに、そのコースとは違う、かろみの未来へ進むための方法としてこれが提示されている。上下巻を読んだ人はこれが結論であることを知っているはずだ。
現実には、そうはさせないように、重いほうへ引きずり込もうとする陥穽に世界は満ちている。
上巻と同じく、驚くべき内容が満載である。日本に住む99%の人には信じられない内容だろうと著者たちはいう。その通りだろう。しかし——
これだけは書いておこう。キャッシュレス決済の進展からやがて身体にチップを入れて個体認証する時代がくるかもしれない。カードを失くす心配もなく便利だということになる。それは便利だが、同時に、どこで何をしているかを管理されることにもなる。が、それだけにとどまらない。その上、命にもかかわることになるのである。すぐには受入れられない情報だろうから、SFとして聞いておいてもらいたいと著者たちはいう。
もし、そのような時代がきたら本書を思い出してもらいたい。でも、都合の悪い書として読めなくなることもあるかもしれない。
*
そこで、覚書として、下巻で初耳だったことを書いておこう。
地球の縮図としての日本列島という考え方のことは比較的知られているだろう。だが、そのなかでも沖縄の役割については本書で初めて知った。沖縄は日本列島に対応するという。
明治維新によって日本に導入されたものがある。一つは金融システム。それにからみ、金 (ゴールド) が最も貴重な金属とされた宇宙史上の理由があること。もう一つは考古学。日本の考古学は西洋の考古学と違い、物質的なものにばかり目が行き、精神的なものを探そうという発想がないという。だから、掘っても土器しか出てこない縄文は何も残していないことになり、考古学者は困る。
[上巻]
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