ハイレゾ事始め(2) BOTT
※「ハイレゾ事始め」の1回めは 'John Wesley Harding' (1, 1a)。
LPだと針を落とした瞬間にグッとくることがある。
それに匹敵する経験が DSD でも起きることを発見した。CD などではあまり起きない。
今回は 'Blood on the Tracks' (下)。DSD は moraやe-onkyoで入手できる。どちらも 2.8MHz/1bit. ハイレゾとしては Flac (96.0kHz/24bit)もある。
1 Tangled Up in Blue
2 Simple Twist of Fate
3 You're a Big Girl Now
4 Idiot Wind
5 You're Gonna Make Me Lonesome When You Go
6 Meet Me in the Morning
7 Lily, Rosemary and the Jack of Hearts
8 If You See Her, Say Hello
9 Shelter from the Storm
10 Buckets of Rain
トラック 1, 3, 4, 7, 8: Sound 80, Minneapolis, 27, 30 December 1974; producer, David Zimmerman; sound engineer, Paul Martinson
トラック 2, 5, 6, 9, 10: A & R Recording (Studio A), New York, 17, 19 September 1974; producer, Bob Dylan; sound engineer, Phil Ramone and Glenn Berger
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DSD でかけたとたんに、びっくりした。え、こんな音だったのか。
よく知っているアルバムなのに、こんなことが起きるとは。
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このアルバムには二種類の音が入っている。一つは大物 Phil Ramone が手がけたニューヨーク録音。もう一つはディランの地元で弟がプロデュースしたミネアポリス(ミネソタ州)録音。参加しているミュージシャンもまったく違う。もちろん、録音エンジニアも違う。
理屈では全然ちがう音がしておかしくない。が、今まではアルバムとして一体感のある、ひとつの作品として聞いて来た。一般にもそう聞かれていると思う。
だけど、DSD で聴くと、はっきりと、お、これはミネアポリス! と分るのだ。何というか、音が生々しい。ディランはどこで何をやっていてもペースを崩さないほうだと思うが、ミネアポリスのほうは、かけた瞬間に、音楽の生き生きとした感じが伝わるのだ。
DSD はどちらかというと、加工した音より、ナチュラルな音のほうがよりすばらしく聞こえるようだ。
たとえ、地方の無名のミュージシャンだって、ちゃんと音を録れば、これだけの演奏ができる。聴いているほうだって、いい音楽は分る。聴いているときは、べつに名前で聴いているわけではなく、純粋に音として聴いている。だからこそ、このアルバムは全米でアルバム・チャートの1位になったのだろう。一般にはディランの最高傑作と言われている。
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もともと会社はクリスマス商戦に向けて売り出す予定だった。だが、ディランはどうにもニューヨーク録音に満足できず、半分の5曲を、故郷で年末に録りなおした。そして、アルバムが出たのが、翌1975年の1月20日だ。客観的に見ればドタバタしているようだが、結果的に最高とされるアルバムが生まれた。
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ちなみに、ミネアポリス録音をプロデュースしたのが弟の David Zimmerman (1946- , 下の写真の左)。
[Minneapolis, 1984; photo by Greg Hegelson]
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上の写真と同じときに撮られたと思われる写真が次のもの (source)。
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