ハイレゾ事始め(1) JWH
最近、ハイレゾを聴きはじめて、耳が開いた。
こういう体験は個人差があると思うので、以下、完全に個人的見解を述べることにする。
オーディオは再生機器により印象ががらりと変わることがある。一般にはお金をかけるほどいい音がすると思われている。それはたぶん真実だろうが、そこには関心がない。
関心があるのは、スタジオのモニターで聴くような音に近い感覚で再生できるかどうか。そこだけである。
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ピアノ弾きとしてスタジオでモニターの音を聴き、原音との違いに耳をすますことが原体験になっている。まわりの音楽家の原音(生音)とモニター音との違いにも耳をすます。ミクサー卓で調整して音が変わるようすを一心に聴き、周波数でいうとこのくらいのところの音はどうかと、録音エンジニアと会話する。そのような体験から生まれた感覚がもとになっている。
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そういう観点から、スタジオ・モニターにいちばん性格が近いと思われるヘッドホンで聴くことにした。ソニーの MDR-M1ST という業務用のスタジオ用モニターヘッドホン (下)。それをウォークマンにつなぐ際、プラグが合わないので、ソニーの MUC-S12SM1 というケーブルに替えた。手間がかかったのはそこだけである。あとはふつうのウォークマン NW-A55。FMラジオが聞ける貴重な機種。
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音源は選択肢がある場合もある。が、現状ではハイレゾの選択肢は少ない。入手できる音源は驚くほど少ない。
今回は、ボブ・ディランのアルバム 'John Wesley Harding' のDSD (DSF)データを取上げる。mora や e-onkyo で手に入る。
ちなみに、価格差は DSD が FLAC より510円高い。それぞれ、3,158円と2,648円。
そのアルバムが死ぬほど好きなら、たぶん DSD のほうが長いあいだ満足できると思う。
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John Wesley Harding
Bob Dylan
個人的にボブ・ディランで最重要のアルバムと考えている。
一般的にはスカスカの音で、音楽的にも無視していいのじゃないかと日本では思われているアルバム。
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中身について議論するのが目的ではないので、早速、再生音のことに進む。
まず、結論から言えば、Charlie McCoy の真のベースの音が聞きたければ、ハイレゾの DSD で聴くしかない。
例えば、'Dear Landlord' のベース。マルゴタンは Klaus Voormann の音を思い出させる、と書いている。
さらに、全体のサウンドが、ジョン・レノンの1970年のソロ1枚目に大きな影響を与えたのではないかと指摘している。
リズム的には、ボブ・ディランのピアノにドラムズとベースが苦労して合わせているヘタウマ的なところがなきにしもあらずだが、全体として聴くと、確かにすごいサウンドだ。
しかも、ディランの声のリヴァーブが、まるで哀願するようであるともマルゴタンは言う。まずまちがいなく、マルゴタンはヘッドホンで聞き耳を立てている。マルゴタンらの本 (下) をお伴にしてハイレゾを聴くのも一興かもしれない。
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Charlie McCoy のベースの音がこんなにぶっとい音だとは知らなかった。
アルバム 'John Wesley Harding' は、これまで、LP や CD などでさんざん聴いてきたのだが、今回、初めてハイレゾの DSD で聴いて、こんな音だとは知らなかったことに気づかされた。
DSD のいちばんいい点は、聴いていて疲れないことである。自然な音だから、音楽そのものに乗れる。いい音楽はますますいい音楽に聞こえる。
逆に録音に欠陥がある場合は、そのまま欠陥として聞こえる。それがスタジオ・モニターの性格だ。また、そうでなければ困る。
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