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22、インスリンの糖代謝への働きかけ

前回はインスリンと血糖値の話でした。今回は糖代謝との絡みについて書きます。

食事をした後は、少し元気になったような気持ちになりませんか。人に依るかもしれませんし、食べ物に依るかもしれませんが、ちょっと身体が温かくなったと感じることもありませんか。あれは食事によって血糖値が上昇したことでインスリンが分泌されて、全身の細胞、中でも筋肉(とくに骨格筋の)細胞や脂肪組織の細胞に、細胞内への糖の取り込みを促進する働きがあるからです。

インスリンの分泌は血糖値の変化と切っても切れない関係にあります。食事の消化吸収に応じた血糖値の上昇に対して、インスリンが分泌されるんです。そして血管内の糖を全身の細胞が取り込んで代謝をさせますから、それだけ血管内の糖は消費されます。加えて、インスリンには糖の代謝の経路を活性化させるような働きもあります。その結果として血糖値が下がります。

ただし、脳の細胞や胃腸の細胞などに対しては、インスリンはあまり働きかけをしないようです。

食事を摂って、摂り過ぎてカロリーが余ったら脂肪に変わるといった話がありますが、脂肪ではなく糖の状態でも貯蔵することが出来ます。グリコーゲンと呼ばれるもので、糖を数珠つなぎの様に重合して作るようです。糖を少し変化させていますが、すぐ使える状態で貯蔵しています。肝臓や骨格筋辺りで行われていて、これもインスリンの働きかけによってのことです。

とは言っても、グリコーゲンの備蓄量をカロリーで表現すると、1回の食事程度(約600キロカロリー、別のところで聞いた話ではもっと少なかったような)の量だと言われています。ですから、グリコーゲンが消費されると、数時間で使い果たしてしまいます。そのあとは脂肪の燃焼に続くわけですね。

また、インスリンはこのグリコーゲンやそれ以外の物質からの糖の新生を抑制します。インスリンが分泌されているくらいですから、血液中に糖は充分存在している状態です。グリコーゲンやその他の物質から糖を作る必要がない状況なので、不測の状況に対応できるように余分(?)に摂った栄養分は体内に貯蔵しておくのも、当然といえば当然の働きですね。

そういえば前回、血糖値スパイクのことを書きました。食事による血糖値の急上昇と、それに伴うインスリンの大量分泌による血糖値の急低下で生じるトラブルでしたね。血糖値が食事で上昇するのは仕方がありませんが、もっとゆるやかには出来ないものでしょうか。

じつは、ある程度はできるんです。簡単な方法は「早食いをやめること」、ゆっくりと時間をかけて食事をすると、それだけでも血糖値の急上昇は防げます。例えば(可能ならですが)、友人とのんびりとおしゃべりをしながら(ただしマナーは守ってください)ゆっくりと食事をすれば、気分も良くなるでしょうし、血糖値の急上昇も防げます。

先に食物繊維をしっかりと摂るという方法もあります。考えてみればコース料理って、いろいろと理に適ったところがあるようです。一般的には最初にスープで胃を温めますし、葉物の野菜サラダが出て来ますから食物繊維が摂れます。メインはたんぱく質で添え物くらいの量で炭水化物、ここでライスを選択すると炭水化物の量が多くなってカロリーの方も多めになってしまいますが・・・。

パンを選択したとすると足りないかもしれないからでしょうか、デザートで炭水化物の補充をした後、最後にコーヒーでカフェインを摂って胃酸の分泌を促します。

問題は、カロリーが多めになってしまうことでしょうね。あと、飲食店で食事をしたとするとお店に急かされたりする(?)かも知れません。

全体に少し小振りのコースになれば、血糖値の意味ではいい感じで食事ができるかもしれません。とは言っても、会社勤めの人にとってはどうでしょうか。財布の中身と昼休みの時間には限りがあるから・・・。


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