あの日、私は“がん患者家族”になった

2017年9月

忘れもしない
夏の終わりの、まだまだ蝉の声が聞こえる、ある晴れた日

私たち家族は、ある宣告を受けた

『乳がんステージⅣ』

母の胸に巣喰うがん細胞は、すでに全身に転移していた

何もしなければ余命は半年
治療をしたとしても、いつまで生きられるかはわからない

はっきりと言われた

何かの間違いであってほしい
何かできる治療はあるんじゃないか
そんな期待を持って、参考書や論文を読み漁った

でも、さすが論文

現実を突きつけられた

5年生存率の壁
それがとてもとても高いこと
他のがんに比べたら、高いのかもしれない
でも、受け止めきれなかった

いつまで生きられるんだろうか
いつまで家族でいられるんだろうか

そんな不安ばかりが積もっていく
暗闇のトンネルを歩いていくような感覚

先が見えない不安、恐怖
そんな中で、治療が始まった

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