見出し画像

音楽で繋がる日本と黒人文化 ep.1- Black Music Everywhere

日本にいるとあまり黒人の文化や歴史に触れることはない、と思う人が多いでしょう。黒人という人種限定の文化や歴史があったのか、と思う人もいるかもしれません。その理由はアメリカの歴史や文化、そして音楽の歴史を学ぶ時に、黒人やブラックミュージックは見落とされて来たからなのではと思います。

普段、音楽を聴きますか?

この記事で一つだけ知ってほしいことがあるとしたら、今世界中で聞かれている音楽の大半はブラックミュージックの影響を受けている、ということです(もちろん、民謡、歌謡曲、クラッシックなど一部を除いて)。

もし日頃J-Pop、ロック、City Pop、K-Pop、ヒップホップ、洋楽ポップス、Jazz、Funk、Disco、Blues、R&Bなどを聞いているとしたら、黒人の文化や歴史に深く触れていると言っていいでしょう。アメリカやイギリスなどで発展した音楽は、黒人ミュージシャン達の影響と恩恵をたくさん受けて来ました。しかしその影響はちゃんと認識されているでしょうか。

Rockはブラックミュージック

ブラックミュージックの歴史は次回からも時系列で詳しく触れていきますが、今回一番わかりやすい例として、Rock の歴史について簡単に触れてみたいと思います。Rock自体が今は幅広いジャンルですが、遡っていくとエルビスのRockabillyや、1950年代後半のRock & Rollに至ります。エルビスは白人じゃないか、と思う人もいるかもしれません。しかしRock & Roll自体が、白人によるRhythm & Blues (R&B)のコピペだった、と言われています。実際に、エルビスが有名になった "Hound Dog" という曲は、元々はBig Mama Thorntonという黒人歌手が数年前に歌い、R&Bチャートで1位になった曲です。Big Mama Thorntonは1位になりながらも、利益を殆ど得なかったと言われています。

ロックが受け入れられた理由

R&Bは当時、Ruth Brownなど黒人ミュージシャンによって発展していきました。しかし当時黒人の音楽は「汚い音楽」とされ、特に白人の親達は子供に聞かせないようにしていました。Rock & Roll 自体もその性的な歌詞やダンス、黒人由来の音楽という理由で親世代からは嫌悪されていました。そんなロックがなぜ受け入れられたかというと、親世代の反対を背に、10代、20代世代の若者が人種関係なくロックのサウンドに惹かれていき、音楽市場がマーケットの機会として無視出来なくなったから、と言われています。

ブラックミュージックの特徴

ブラックミュージックと言ってもJazz、Funk、Hip-Hopなど様々なジャンルに分かれますが、大まかに特徴を説明したいと思います。

1. メロディーよりもリズムの強調
アフリカのドラムを中心に発達した複雑なリズム。今ではグルーヴと呼ばれるリズムは、ほぼブラックミュージックのリズムをさします。それに比べ、音階やハーモニーは単純でした。この複雑なリズムと、クラシックで発達した複雑なハーモニーの融合によってジャズが生まれました。(0:20-)下の動画の中でも、メロディーよりリズムの強調の一例としてJames Brownが特定の音を歌わず、「叫ぶ」ことがあるのがわかります。ラップというジャンルもこの特徴が当てはまるでしょう。

2. 個人的表現(Personal Expression) 
一番大事な特徴を上げろと言われたら、この個人的表現になるでしょう。これは黒人の奴隷や人種差別の歴史と強く関係していると思いますし、Rock & Roll などで見られる性的表現もこれに由来していると言われます。日本でたまに聞く「日本の歌は風景を描写するのが上手だが、洋楽は感情をストレートに表現するのが上手だ。」というのも、この個人的表現に由来していると思います。

3. Call and Response (コール‐アンド‐レスポンス)                                          「呼びかけと応答」という、主にメインボーカルとコーラスが呼応するテクニック(楽器同士やボーカルと楽器との間に使われることもある)。これをリズムの強調する一つの方法とも考えられます。James Brown やBruno Marsがよく使うテクニックです。(0:20-) *Bruno Marsは黒人ではないですが、ブラックミュージックの影響を強く受けています。

4. Blue Notes(ブルーノート)
ブルーススケールというジャズやブルースに使われる音階をさすこともありますが、音から次の音へスライドして歌うテクニックでもあります。クラシックのオペラようにそれぞれの音がはっきり分かれているのではなく、音の始まりが曖昧になっているのが特徴です。Ruth Brownもブルーノートをたくさん使っていました。

このテクニックの元は、黒人が奴隷だった時代に白人達が歌っているの耳コピでマネしようとし、どの音か見つけようとスライドしているうちにこの歌い方が身についた、と言われています。

他にもブラックミュージックの特徴は沢山ありますが、全部書くと長くなってしまうのでこれほどにしておきます。

一つ言っておきたいのが、これらの特徴が残っているブラックミュージックもありますし、別の特徴がジャンルが変わりつつ発展したものもあります。

終わりに

今回は世界の音楽全般がブラックミュージックの影響を受けているという意味で、日本と黒人文化の繋がりを書きましたが、次回は実際にJ-Pop、City Popなどの日本の音楽がどのようにブラックミュージックの影響を受けているかについて書いていきたいと思います。

*このブログ記事は僕が大学でとった "African American Popular Music : from Blues to Hip-Hop" という授業で学んだ内容を元にしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?