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質と量どちらが大切なのかを真面目に考えた


今回はコラムという形で、小池純輝と編集部からお送りします。
記念すべき第一回のコラムは「質と量、どちらが大事だと思うか」がテーマです。

スポーツ、学業、仕事などで「質が大事」なのか、それとも「量が大切」なのかというまたその議論かレベルの話となりますが、頑張ってまとめたのでご一読いただけると本当に嬉しいです。

さて、本題の議論でよく出がちな回答パターンとして、

①質が大事
②量が大事
③どちらかではなく、どちらも大事

といったことが挙げられます。皆様はどうお考えですか?

一見、どれも正解のようで、実はそうではないのかもしれないという、どっちつかずなものに見えないでしょうか。

自身の経験を振り返る

少し、私の約20年のプロサッカー選手生活を振り返って、具体的なお話をしたいと思います。

プロサッカー選手の全体練習はとても少ないです。皆様が想像しているよりもはるかに短いと思います。全体練習の後は個人の裁量に任されます。

そういう意味では、「質」を優先させているのだと思います。

ただ、小さい頃からプロサッカー選手になるまでを振り返ると全くそうではない、

「圧倒的な量」をこなした思い出もあります。

「量」の練習から「質」の練習へと変化していったのが分かります。

成長スピードの鈍化との関係

実力が上がれば上がるほど、成長スピードが鈍化するという感覚があります。
いくら練習をしても実感できないほどに成長スピードは遅くなり、加齢やマインドの変化も相まって、下手になっている可能性すら感じるときもありました。

プロのサッカー選手に限らずアスリートと呼ばれる人たちの多くも、たくさん練習する時期を経て、徐々に質を求めていく人が多いと思います。

ただし、やりすぎは禁物です。

やりすぎるとマイナスな結果に至ることも多いのです。

オーバーワークによる怪我をしてしまったりしますし、ある一定の時を境にまったくやる気が起こらなくなることもあります。燃え尽きてしまう感じでしょうか。

また、同じ練習を繰り返しすぎて試合に臨むと、練習と同じシーンに遭遇することもあります。ですが、そういう時に限って意識して体が固まり、失敗してしまう現象が起こります。

練習は正義なのか

先に述べたように、練習の量自体が悪いわけではなく、むしろ絶対に必要なことだと思います。

しかし、練習をたくさんこなした事を安心材料やお守り替わりにするのは少し危険な感じがするのでお話しします。

練習を積んで何回も同じことを繰り返したにも関わらず、試合で失敗してしまったとします。そのあと何が起こるかというと、

「練習が足りなかったからだ」

というマインドになり、もっとやらないといけない、全然練習が足りないといった負のスパイラルに陥ります。

いつの間にか、練習が足りないことがすべての原因という状況になります。

結果が出ている時のマインドについて

さて、ここでは逆に結果が出ている時のマインドについて考えてみます。
この状態の時は、何も考えずにいいプレーが出来てしまったり、結果が出ていることが多々あります。
たくさん点を取っているときにも、それ以上にシュート練習をしていたかといえば、全然違いますし、何なら個別のシュート練習は全くやっていないのに点がとれている時期もありました。
これは時間がなかったからシュート練習をしなかったのではなく、あえて練習を制限し、試合での感覚を忘れないようにしていたのです。

あえて練習しないということが、結果に結びついていたという事実

これは、すごく大事なことなのだと思うのですが、意識をしてしまうと急に出来なくなってしまうことってありませんか?

学業でも、ずっと前から勉強してテストに望んだのに点数が低かった

仕事でも、ずっと前から準備していた商談が失敗してしまった etc.

実際これらは、緊張や思いの強さから体が固まってしまったパターンなのだと思います。

練習をすればするほど直前までのメンタルは安定しますが、本番で100%の力が発揮できるかといえば必ずしもそうではないのです。

「これだけやったから後はどうにでもなれ」という気持ちで望んではいるかもしれませんが、心の底では「あれだけやったのだから絶対に結果がほしい」と思っている可能性が高いのだと思います。

練習をした分だけ、自分のパフォーマンス(結果)についての期待値が上がっていきます。多くの人は、どこかで最高の結果を求めてしまっているのですね。

このような面から、「質」か「量」の二元論的な考えでどちらかが正しいとするのではなく、

「パフォーマンスを出すために何が最適なのかを考えて、「質」か「量」かを日々決定していく」

のはどうでしょうか。

流れが良ければ、その流れを断ち切らないために特定の練習をやめてみる、
仕事で結果がでなければ、休日に今までやったことのないことをしてみる、
部活終わりで、いつもより体が疲れていると感じたら、夜のスマフォタイムを無くして早く寝る、

これらはすべて、「やらない、止める」という意思決定になります。

でも、これをすることで結果が出ることが多々あります。不思議なものですよね。

これは「量」ではなく「質」の練習と捉えています。

本来の目的である、結果を出すことを忘れずに、的確な判断ができるよう毎日頭を使うことがゴールへの近道になるのだと思っています。

最近は「質」を追求しているけど、来年は「量」を求めているかもしれない。
そんなことがあってもいいと思います。

流れを引き寄せる力

最後に、流れの実態に迫ってみたいと思います。何だかスピリチュアルな香りがしますが、実際の経験として上手く行っているときは何をしてもシュートが決まるということがありました。俗に言う「流れがきた」という状況です。

決めた場所に立っているわけでもないのに、ボールが転がってくる、
当たり所が悪いシュートだったのに、ゴールキーパーのいないところに飛んでいき、ゴールになる、

無意識レベルでこういうことが起こるのです。

個人的に、トッププレイヤーの方々は、この流れを引き寄せる力が物凄くあるのではないかと考えています。
実力があるのは大前提として、最後の最後で結果の良し悪しを決めるのは「流れを引き寄せる力」に尽きるのかもしれません。

どうすれば引き寄せる力は上がるのか

これについては、おそらく明確な答えを出した方はいないのではないでしょうか?
精神的な話をすればするほど胡散臭さが増して来る気がしております。

ただ、これも一つの運で、日頃の行いが重要になってくると考えています。

挨拶をする、
ごみを拾う、
応援してくれる方に感謝の気持ちを伝える
しっかり睡眠をとる
楽しいことを考える

もしかすると、これらの要因が積み重なって流れという形で現れるのかもしれないですね。
自分自身が暗示的にポジティブになっているだけなのかもしれないですが。

まとめてみます

  • 目標によって、必要な練習・勉強の必要量が異なる

  • ある程度のレベルになると「量」の練習が通用しなくなってくることが多い

  • 成長のスピードはレベルが上がるほど鈍くなる

  • 「質」の練習には、「やらない、休む」なども取り入れてみるといいかもしれない

  • 「量」を追求すればするほど、本番で失敗することがある

  • 練習をすること自体を目的にせず、「パフォーマンスを出すために何が最適なのかを考えて、「質」か「量」かを日々決定していく」はどうか

  • 流れを引き寄せる力の存在を実体験として信じている

  • 流れを引き寄せるには日頃の行いが大事という仮説

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