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☆本#406 不倫と許容「A2Z」山田詠美著を読んで

著者の本を久々読む。

主人公は編集者で35歳。アラフォーの夫も編集者。どちらも実績を認められていて、ライバル同士でもある。
ある日、夫から「好きな人ができた」と言われ、ショックを受ける主人公。とはいえ、彼は離婚する気はないという。ただ、嘘はつきたくなかったと。
これまで互いにばれずにワンナイト的恋はしてきたけど、今回のケースは初めてでショックを受ける。が、自分も職場の前にある郵便局の年下の職員に恋をする。で、付き合うようになる。
夫は、大学生の恋人のもとへ行く。

ある日、夫の恋人が彼女に会いたいと連絡してきて会うことになる。どうも彼女は結婚したい様子。

夫が担当している新人に才能を感じていたら、偶然その子と知り合う。夫は年末に恋人と過ごすことになり、年下の恋人は体調の悪い祖母のもとへ行ってしまい、その新人といっしょに過ごすことになる。作家と編集として信頼関係が構築されていく中、彼女の所属する出版社から本を出すことが決まる。口約束ではあるけれど。

その作家の2冊目の本が夫の担当のもと出版され、購入のため行った書店で偶然彼と会い、帰りに最寄りの蕎麦屋へランチにいくと、偶然、夫とその恋人と鉢合わせる。夫は、彼女が新人作家といっしょにいることに一瞬かちんときた様子。

その後いろいろあって、夫婦はよくあるパターンとは違う着地点を迎える。

藤堂志津子の初期の小説に出てくる表現「公衆便所」もなかなかショッキングに感じたけど、この小説の終わり方もある意味新しい。

この本を読んだあとで、著者の「風味絶佳」という短編集を読んでいたら、最後の6つ目は読んだことがあることに気付いた。端的にいうと、好きだった女子が自分の父親と結婚する話。
そういう展開の話は過去に読んだことがある気がするけど、それがこれだったのかはわからない。なんだか、南米のある作家が言う、どの小説も展開は出尽くしている、の例に遭遇か?

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