見出し画像

☆本#338 裏表「あなたを愛してから」デニス・ルへイン著を読んで

男性作家が書く女性主人公は、ちょっとステレオタイプだったりするけど、そんな違和感なく読めた。

主人公は有名作家で大学教授のシングルマザーに育てられる。その母親が事故死したことで、以前から気になっていた父親捜しを始める。見つかったと思ったら、違うことが判明する。ジャーナリストとして成功しつつあったのに、戦場で精神的にこたえてしまい首になる。その後、結婚するけど、そもそも動機が不純で離婚。父親捜しを始めた際知り合った男性と、その後もメールのやり取りが続いていて、ついに結婚。
ある日、彼の不振な行動に気づいてしまい、銃殺する。ここは、この小説の冒頭シーンである。
でも、実はいろいろからくりが会って、彼の仲間やその恋人は殺されるけど、ふたりは逃避できそうな感じで終わる。

本の解説では不幸な感じの印象が強かったけど、実はそうでもなくて、主人公は恐怖症的なものを克服し、父親も結局誰か自力で見つけ出し、パートナーはやっぱりパートナーだし、新たな始まりを迎えている様子が感じられた。
そういえば、アカデミー賞作品賞を取った映画で、さんざんひどい世界とそこから抜け出せない状況が描かれていて、でもラストに好きだった人に再会し、その瞬間幸せな気持ちに満たされるシーン(なんだかんだ言って「愛」が人の中でとても強い感情のひとつ)を思い出した。

主人公の名前レイチェルは、著者の他の小説でも多用される名だとか。ほかの作品も読んでみたい。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?