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☆本#568-9 設定「白鳥とコウモリ」東野圭吾著、「あなたはここにいなくとも」町田そのこ著を読んで

「白鳥とコウモリ」の語り手は刑事、被害者と被疑者の娘と息子など複数。文中1/5くらいで犯人が判明するけど、そこからが謎の究明の始まりで、西欧のミステリ系のようにページ数が多い。タイトルは娘と息子コンビの例え。

警視庁捜査一課の五代は若手刑事と共に、通報のあった殺人事件の捜査を担当。被害者は弁護士で、人から恨まれるような人物ではなかった。
そんな中、捜査に浮上した人物が自供する。事件は一旦解決したかに見えたが、被害者の娘と、被疑者の息子は、それぞれ違和感を感じ、嘘に気付き…。


「あなはたここにいなくとも」は短編5作。主に女性が主人公。年齢は幅広い。どれにも共通することは、登場人物の実家が来た北九州市や下関近郊。

「おつやのよる」では、主人公は社会人の清陽。彼女には子供のころのトラウマがある。
恋人と久々に会い、家でくつろいでいるとき、母親から電話がかかる。祖母が亡くなったという。ちょうど祖母からの絵はがきを読み返していたのに。
慌てて帰省することにすることになり、恋人は通夜に出たいというがつい断ってしまう。それには事情があって…。

「入道雲が生まれるころ」では、主人公は社会人の萌子。
ある朝、そろそろ恋人と別れの時期だと感じて、別れの手紙だけ残して彼の部屋を去る。ちょうどそのとき、実家から祖父の従妹の女性が亡くなったと連絡があり、帰省することにする。
実家に帰ると、妹がニートになっていて、亡くなった女性は実は祖父と何の関係もない可能性が浮上。それでも葬儀の手配をし、遺品の片づけをしていると、その女性が自分と同じリセット症候群と知り…。


1作を除き、人が死ぬ。殺人じゃないけど。
お年寄りがでてきて余命いくばくもないとか、近親者が亡くなってしまう系の話は琴線に触れる。吉本ばななの初期の作品群を思い出す。確か、主人公の近親者が亡くなり、「喪失感からの再生」テーマだったような。恋愛が基軸だけど。本作では不思議な「ばばあ」が出るので、そこも不思議系で類似的か。
設定って大事。




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