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☆本#594-5 「ナイフをひねれば」アンソニー・ホロヴィッツ、「ザ・メイデンズ ギリシャ悲劇の殺人」アレックス・マイクリーディーズ著を読んで

「ナイフを〜」は著者自身が登場する、ホロヴィッツ&ホーソーンのシリーズ4作目。

ホロヴィッツはなかなか心の内を見せてくれないホーソーンとの新たな契約更新をしないと決め、ホーソーンーにそれを伝える。
ホロヴィッツは舞台の脚本を書き、その舞台が地方でうまくいったので、ロンドンで公演することになる。

舞台初日、コメントが厳しい劇評家スロスビーが呼びもしないのに娘と打ち上げに参加し、いけ好かない態度をまき散らして去る。嫌な気分になったホロヴィッツと演者は、飲みなおすため劇場に向かう。夜中過ぎ、演者のひとりがネットに劇評が出たと言い、みんなでスロスビーのものを読むとかなりの酷評。その責任はホロヴィッツのせいだと。

翌日、劇作家の死体が発見され、凶器にホロヴィッツがもらった短剣が使用されていたため、ホロヴィッツは逮捕される。
が、その短剣についたDNA検査に時間がかかるということで一旦釈放。ホロヴィッツは結局、ホーソーンと共に、事件を解明することになり…。

ホロヴィッツとホーソーンのシリーズはこの後2冊は続くらしい。

「ザ・メイデンズ」は、ギリシャ出身の著者の2作目。
セラピストの35歳寡婦が主人公。主人公以外でもセラピストが登場し、その発言はなかなか考えさせられる。

マリアナの父親はギリシャ人で母親はイギリス人。母親は幼少期に亡くなる。父親は仕事一筋で財産を成す。高校を卒業するとギリシャを去り、大学はイギリスのケンブリッジを選ぶ。そこで、セバスチャンと出会い、ふたりは恋に落ち、後に結婚する。
が、セバスチャンはマリアナが誘ったギリシャの島で、海の事故で死亡。
それから、14か月。未だ悲しみから抜け出せないマリアナに、姪のゾーイから電話がかかってくる。彼女の親友の死体が発見されたと。ゾーイの両親は既に亡くなっている。
マリアナは、グループセラピーの仕事をキャンセルしてゾーイのいるケンブリッジ大学へ向かう。
マリアナは、直感で教授のひとりを怪しいと思うが…。


実は、マリアナの直観事態があやしい。

第三部の引用
「したがって、すばらしいプロットというのは、二重の筋ではなく、一本の筋でなければならない。また、運命は不幸から幸福へではなく、反対に幸福から不幸へ転じるのでなければならず、それを引き起こす原因は、邪悪な何かではなく、本人の大きな過ちにあるのでなければならない」
アリストテレス『詩学』

読み初めに、マリアナとゾーイの信頼度に違和感。
マリアナは幸福から不幸へ、終盤に更なる不幸へ転じるけど、それである意味過去を乗り越えるきっかけになりそう、というか、視野が広がるきっかけになったような。


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