見出し画像

☆本#115/116 秀逸「百日紅 上・下」杉浦日向子著を読んで

杉浦日向子全集第3巻と第4巻の「百日紅」を読んだ。これ、漫画。

アニメ映画から見たけど、こっちのほうがやはり絵がうまい。話は短編が連なっているので映画にまとめるのは難しかっただろうと思う。けど、お栄は北斎をほめてないので、アニメのあの最後はだめだな、やはり。

北斎の3女のお栄の絵の実力は、この作品でも認められている様子が描かれていて、北斎の絵の代わりを務めたり、逆に北斎がお栄の名で描いたりしていて興味深い。北斎は金になるなら、あるいは気分が乗ったらそういうことをする人だったようだ。
ある意味潔いというか、そういうことへはこだわりがないというか。一方で、乗らなければ仕事は断っていたので、こだわりはもってるようだけど。

アニメのときもあれっ?と思ったのが、お栄が男娼へ行くシーン。軽く描かれていたけど、江戸時代って今よりも開けてるというかなんというか。著者は、江戸風俗研究家でもあるのでちゃんと史実に基づいているのだと思う。

著者は46歳で亡くなっていて、今生きていたら61歳。wikipedia情報だと、病気のせいで体力のいる漫画はあきらめたようだ。その後闘病するも癌で亡くなった。短命というとさくらももこを想起する。短くても深く濃い人生。

ちょっと前に、西原理恵子とみうらじゅんの昔の対談を読んでたら(ふたりは学年違いの同じ大学・同じ学部)、美大出身で絵がうまいやつはいないって話していて、著者は絵がうまいけど美大出身ではない。なんか証明された感。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?