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☆本#574-6 分岐点「盤上の向日葵 上下」「ウツボカズラの甘い息」柚木裕子著を読んで

「盤上の~」
冒頭は、天童市での将棋タイトル戦の龍昇戦。若き天才棋士vs.奨励会を経ず、実業界から転身して特例でプロになった東大卒のエリート棋士。

平成6年、夏、埼玉の山中で身元不明の白骨死体遺体が発見される。遺留品は名匠の将棋の駒。科捜研が被害者の複顔するのに1ヵ月かかるため、まず捜査一課の石破と、かつて奨励会にいてプロ棋士を目指していた新米刑事の佐野がコンビで調査にあたる。
ふたりは駒の鑑定士に会い、駒の所有者が3名いることがわかり、確認のため現地に足を運ぶ。

昭和46年、元校長の唐沢は廃品回収に出した本がいくつかなくなっていることに気付く。犯人は新聞配達の少年だった。本は将棋に関してで、唐沢は彼と週に一度将棋を指すことにする。少年は、母親が既に亡くなっており、ギャンブラーの父親の下、虐待され、満足な食事も与えられていなかった。不憫に思った唐沢は、彼が将棋の才能があることに気付くと、自分が資金を出すので、奨励会のテストを受けるよう薦める。が、父親の反対に合い、少年は将棋をあきらめる。その後大学に進学し、ある日、将棋道場で伝説の真剣師と出会い…。

「ウツボカズラ~」
高村文絵は専業主婦。幼少時代の辛い記憶を思い出したり、子育ての苦労や、若い頃はきれいだったのに、出産後ストレスで太った自分のいまの醜さを直視したりすると、解離の症状があらわれるため、通院していた。
そんな中、自分が輝いていた中学時代の同級生加奈子に偶然会う。その際、彼女が輸入販売するフランスの高級化粧品の説明や雑事をする仕事を頼まれる。最初は乗り気でない文絵も、月50万円もらえることを知り、ダイエットを開始し、以前の体重に近づくと夫に黙って仕事を引き受ける。

鎌倉の広大な敷地に建つ一軒家で男性の死体が見つかる。神奈川県警捜査一課の秦と、鎌倉署の中川と共に事件を追う。
ふたりは、被害者と化粧品会社とのつながりにたどり着き、文絵のもとに行く。が、そもそも文絵が働くきっかけとなった加奈子は数年前に自殺していたことが判明し…。


どちらも語り手は複数で、事件を追う刑事と、関係者と被疑者の話が交互に続く流れ。
容疑者と思われる女性が既に死亡していたことが判明以降の流れはこれまで読んだ中では確かに意外な展開。

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