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☆本#389 デンマーク発ミステリー 「特捜部Q 檻の中の女」ユッシ・エーズラ・オールスン著を読んで

デンマークを代表するミステリ作家。この特捜部Qシリーズ3作目で北欧最高峰の賞を受賞したらしく、ひとまず1作目から読んでみた。

カール・マーク警部補は部下2名と調査に行った先で銃撃に逢い、自身は比較的軽傷だったものの、1名は死亡、もう1名は重症を負い寝たきりに。やるせない気持ちと共に、犯人捜しなんてどうでもよい投げやりな気分になる。
プライベートでは、妻は家を出て若い彼氏といるが彼女は既にバツイチなので離婚する気はないという。現在は彼女の10代の息子と、半地下を貸している男性モーデンと同居中。反抗期の息子とは交流が薄いが、モーデンの家事のおかげで食事等身の回りは助かっている。
そんなイマイチやる気が起きない環境の中、上司の課長から新設される特捜部の長になるよう言われる。過去の未解決事件を扱うというが、部下はおらず、オフィスは地下室。さらにやる気が失せる。たった一人だと仕事にも支障が出るのでアシスタントをつけるよう上司に頼むと、移民のアサドが配属される。
それでもイマイチやる気が出ない中、上司にせっつかれ、アサドが興味を持った女性議員の失踪事件の調査を始めることになる。

ストーリーは、カールのいる現代2007年と、失踪した女性議員の2002年から2007年までが交差して進む。

読み始めは主人公のやる気のなさが印象的だったけど、アシスタントのアサドや、生き残った元部下とのやり取りで、カールの人情や優秀さがわかってくる。

フランスでは、女性が年上の恋愛はよくあると聞くけど、デンマークでもそうなのか、カールは警察が雇った心理学者で年上(アラフィフ)の女性に惹かれる。

振り返るとどのシーンや展開にも無駄がなく、犯人へのヒントも気付くか気づかない程度に散りばめられていて読後感がいい。次のシリーズも読みたくなった。
名作を後で知るメリットは、既に発行されているシリーズを一気読みできる点。
アサドのキャラがいい味を出していて、どうやら今後彼を主軸の話もあるらしい。
殺害方法として、気圧をツールを使っているのが新しい。





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