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☆本#24 イギリス女性作家と高度成長期の日本での体験「花火 九つの冒瀆的な物語」アンジェラ・カーター著

この本を選んだ理由は、日本滞在が影響している話が含まれるということから。読後、正直なところ、ストーリーにはいまいち引き込まれなかったけど、むしろ日本の文化等に影響を受けた著者に興味を持った。

カズオ・イシグロ原作の映画を見たあと、彼の娘も小説家で、影響を受けた作家がアンジェラ・カーターということが知ったきっかけ。

アンジェラ・カーターは1940年英国生まれ。51歳のとき肺癌で亡くなる。

二十歳で結婚するも数年後に別居し、結局離婚する。20代後半で初来日、その後2年ほど滞在し、日本人や日系韓国人男性と付き合う。この期間の経験がその後の作品に影響している。帰国後、30代後半で18歳年下の男性と暮らし始め、1983年43歳のとき出産。この時代この歳での初産って珍しいのではと思う。

日本の美や文化、日本がキリスト教やユダヤ教の影響を受けていない点に興味を持ったらしい。徳川家の政策のおかげか確かにアジア内で比較しても日本のキリスト教普及率が低いかもしれない。

カーターは、現在もイギリスでは人気作家で、研究対象としても人気らしい。日本の影響を受けている・当時の日本がわかることから、日本でも研究対象にされているようだ。

サマセット・モーム賞受賞や、ブッカー賞の審査員になるほどの作家としての実力と、日本に来たりしたプライベートも個性的なので興味を持たれやすいのだろうか。

個人的には、カーターが「男の国 日本(当時海外ではそう思われていたらしい)」に来て、フェミニズムに目覚めた点が興味深い。昭和は、明治時代に制定された家父長制の影響がまだ色濃かったから男尊女卑が目についたのだろうか。

カーターの分身と思わせる40代の女性が日本の思い出を語るという「キルトを作る人」という短編は読んでみたい。

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