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☆本#396 アジアのスーパーリッチ・金・格差「Crazy rich asians」Kevin Kwan著を読んで

数年前映画化された作品の原作を読んでみた。
主人公のレイチェルは中国系アメリカ人で29歳。赤ちゃんのころシングルマザーの母と移住したのでほぼアメリカ人。2年付き合っている恋人のニックは32歳で出身はシンガポール。ふたりはNY大学教員。
レイチェルは既に親にも親戚にも彼を紹介しているけど、彼の実家はシンガポールなので彼の両親にも親戚にも会ったことはなかった。
ある日ニックが、彼の親友が夏に結婚するので、彼女にもバケーションとして一緒にシンガポールに来ないか誘う。
ニックは単なるリッチじゃなく、実はスーパーリッチの家系なんだけど、レイチェルにはそのことは話していない。仲の良いいとこのアストリッドからは話して準備させておいたほうがいいと注意を受けていたけど。
で、結局、レイチェルは到着後徐々に彼の実家がスーパーリッチだと知り、偶然招待されて参加したバチェロレットパーティで、ニックのガールフレンドということで嫌がらせを受ける。

一方、ニックの母親も息子がはじめてガールフレンドを連れてくると知り慌てる。一族の男性は30歳を過ぎて結婚したいと思ったとき、そばにいる女性と結婚する傾向があるので、ニックもそれだと思い、まずはレイチェルのバックグランドを探理、彼にふさわしくないと判断する。

アストリッドは毎年2回、かつて住んでいたフランスへ行き、オーダーメードで洋服を購入する。もうすぐ結婚5年の夫マイケルと3歳の子供がいる。ふたりは格差婚なので、彼女が費やす洋服代を彼に言ったことはない。帰国後、夫がシャワー中に彼のスマホに届いたメッセージを見てしまい、もしかして浮気をしているのではと疑惑を持ち始める。

ニックの親友の結婚式のイベントに出席したレイチェルは、ニックの元カノにも質の悪い嫌がらせを受け、ショックで動揺した彼女はアメリカに帰国しようとするも、結局ニックのせいではないのでひとまず彼の提案を受け入れ、その後の結婚式イベント参加はせず、ショートトリップに出かける。
ところが、宿泊先のニックの祖母の別荘に、祖母と母親が来ていて、レイチェルの知らなかった彼女の父親について暴露し、ニックに彼女と別れるように圧力をかける。
知らなかった出生のひみつを知ったレイチェルは動揺し、いったんニックのもとを離れ、シンガポールにいる親友の家に避難する。ニックも母親のしたことにあきれて、家を出る。

1週間以上過ぎてやっとレイチェルは食べれるようになり、母親に真相を聞くため電話するも、母親は真実を言わない。そこで中国本土にいる父親に会いに行くことを決め、富裕層のお金への執着を目の当たりにしたことや、ニックの母親のしたことから彼と今後も付き合っていくのは、彼女の理想の未来ではないと、彼と別れる決意をする。

アストリッドは夫についに浮気を問いただす。彼は認めて家を出る。どうやら彼には愛人との間で子供がいるらしいこともわかる。アストリッドの元カレのチャーリーは彼女と別れて別の女性と結婚してからも彼女のことが好きで(そのため結婚はうまくいかず別居中)、ニックの親友の結婚式に出席し、アストリッドの状況を知り、いっしょに香港に飛び、チャーリーがマイケルの居場所を探偵に探らせる。場所がわかるとアストリッドは衝動的に彼と対話が必要だと会いに行き、そこで真実を知る。

ひとりで中国本土の父親のもとへ行かせるのは心配だと、レイチェルの親友がいっしょに行くことになるも、そこにニックとレイチェルの母親が現れ、母親がついに真実を話す。
レイチェルとニックは元サヤで、終わる。

一見、ハッピーエンドだけど、レイチェルが別れる理由として挙げた富裕層の金への執着問題と、彼の母親たちの件は棚上げのまま。ニックが彼らとの関係を絶つのか。

シンガポールと中国の富裕層、そういった層の習慣・文化、格差婚のストレス等、なかなか読みごたえがあり。
レイチェルのほうは、父親のパートには意外性があったけど、まあ大体想定内だったので、アストリッドのパートが、どう対処するのか興味深かった。

映画のほうがビジュアルでスーパーリッチぶりが一目瞭然なので、そっちもいつか見てみたい。

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