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☆本#55 朝井まかての時代小説

作品と江戸時代に興味があって、朝井まかて著の時代小説「ちゃんちゃら」「すかたん」「先生のお庭番」、ほか数冊(「最悪の将軍」「御松茸騒動」)を読んでみた。

最初の2冊はタイトルの短い響きがいい。

「ちゃんちゃら」は、江戸の庭師の物語。最期に誰が大事な人か気付くのが、ただただ悲しい。

「すかたん」は、江戸時代に大坂の青物問屋で働くことになった後家の物語。「恋歌」「ちゃんちゃら」で若干消化不良気味だった点が解消された。今のところ恋愛でうまくいったのはこれだけか。「最悪の将軍」も夫婦仲はいいけど、メインは綱吉の将軍としての話だし…。

この2冊はオリジナル。

「先生のお庭番」の先生とはシーボルトのこと。なので、史実ベースのフィクション。

薬草園の園丁の少年(熊吉、通称コマキ)の視点で、薬草園作り、シーボルトと奥方や周りの人らとの交流、「シーボルト事件」等が描かれている。

朝井まかての小説は、園芸関係が今のところもれなく出てくるけど、シーボルトが植物好きなのは知らなかった。

シーボルトが百合の花を見てコマキに、その美しさに心が癒されるというシーンはとても同意。

個人的にはほかに、朝晴れた空も雨より気分を上げてくれると思う。

園丁となった謙虚で内気な少年は、熱心に働き、オランダまでの船便で種を枯らさずに着くよう知恵を絞り、自分で決めて行動できる本当の庭師に成長していく。

江戸時代は所々情け容赦なく、ままならない。主人公や周りはとてつもなく過酷でつらい目に遭う。けど、乗り越える。

シーボルトは紫陽花の学名にオタクサと名付けた(同種があることが判明して現在は存在してない)。オタクサ=お滝というのが本当だったらいいな、と思った。






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