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☆本#282 目には目を「炎の色」ピエール・ルメートル著を読んで

ゴングール賞を獲った作品の続編。といっても、前回主要登場人物だったひとりの姉マドレーヌが主役で、権力者だった父親の葬式のシーンから始まる。葬儀中に7歳の息子が3階の窓から飛び降り、瀕死のまま入院。相変わらず、展開が早くて引き込まれた。

息子ポールがなぜか飛び降りたか理由を話さず、思いがけない裏切りで生活が一変し、オペラ歌手との出会いや、1930年前後なので当時の戦争の気配も漂う。

父親の財産を全部失ったマドレーヌの反撃が後半に始まり、以降一気に読んだ。

ポールが飛び降りた理由は、ああそういうことかというちょっと予想してたものだったけど、音楽に興味をもって立ち直っていき、新たな興味のもと成長していく様がよかった。
マドレーヌは、ある意味聡明ではないところがいい味をだしていたかもしれない。タイトルの炎の意味は復習の象徴か。著者は結構無情な容赦ないストーリー展開をする傾向があり、今回も復習については容赦なかった。

ゴングール賞を獲った作品は、映画化されたらしく、いつか見てみたいけど、この作品では戦時中人をすくったばっかりに顎をなくした若者のラストが印象的だった。
今回も、読みごたえがあって、登場人物たちが魅力的で、次の続編も絶対見ようという気にさせられた。3部作の最後は、1作目で登場した少女が主人公らしい。

彼の描く登場人物は、どれも魅力的に感じるけどなぜだろう。。。

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