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☆本#590-2 「後悔病棟」垣谷美雨著、「見えない傷痕」サラ・ブレーデル著、「夜霧がたり」砂原浩太朗著を読んで

「後悔病棟」はシリーズ3作のうちの1作目。

30代前半の医師、早坂ルミ子は、末期がんの患者を担当している。コミュニケーションが下手で言葉も足りず、患者とその家族に誤解されやすい。
ある日、病院の中庭で聴診器を拾い、持ち主が出て来なかったので、自身が使うことにする。そして、その聴診器を使うと患者の心の声を聴けることに気付き…。


患者の中にはがんから回復したひともいるけど、幸せかは少し微妙な展開だったり。3作の中では、その分奥深いかも。

「見えない~」は30代半ばの女性刑事ルイースが主役。

デンマークの首都コペンハーゲンでレイプ事件が起きる。ルイースが担当することになり、被害者の女性スサンヌに会う。
彼女は顔を殴られ恐怖体験から動揺しており、あったことについての記憶を無意識に抑圧。そのため、ルイースの質問に対して答えが曖昧。しかも、ネットで出会った人で、まだ数回しか会っておらず、写真を持っていないし、顔も思い出せない。容疑者のハンドルネーム「ミスター・ノーブル」のアカウントは既に削除されており、住んでいると思われる場所を調べるも、その人物は存在していなかった。

手がかりを掴めないまま、週末に親友カミラから子供を預かってほしい(ネットで出会った人とデートのため)と頼まれ、その子供と、6年ほど付き合い、現在同居しているピーターと共に実家で過ごすことにする。
が、上司から連絡があり、同様の事件が起こったと。ルイースはまさか被害者がカミラではないかと慌てて現場に向かい…。


主人公がちょっと微妙なタイプで、他の刑事ものと比べても迂闊というかドジというか甘いというか。最後には意外な展開を見せるけども。

「夜霧~」はおそらく江戸時代の庶民が主役の短編8話。

「帰ってきた」
おみのの夫の弥吉は腕のいい錺職人。賭博が原因でしょっぴかれ、その後、おみやは夫のおとうと弟子の善十と暮らすようになる。が、善十は稼ぎが悪く、おみのは居酒屋で働いていた。
ある日、善十から弥吉が帰ってきたと聞き…。

「さざなみ」
勝次は幼馴染のおさくが好きだったけど、奉公に出ている間に嫁にいってしまった。せめて告白だけでもしておけばよかったと後悔していたところ、おさくの夫がやくざ者に殺され、おさくは独り身となった。その後、1年待って女房に。
ある夜、おさくが寝言で前の夫の名前を言うのを聞き…。

「半分」
おゆみとおのぶは幼馴染。おのぶが先に嫁ぎ、先に子供ができた。おゆみは嫁ぐも子供ができず、おゆみとは疎遠になっていった。
おゆみは、おのぶの夫が若くして亡くなり、ひとりで二人の子供を育て大変そうだったのは知っていた。そんな中、おのぶが死んだと知らせを受ける。かけつけると、枕元にはおのぶの半分の年の少年がいて…。


どれも、思わぬ展開。




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