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☆本#436-8 理系的ほのぼの「工学部・水柿助教授の日常」「逡巡」「解説」森博嗣著を読んで

著者に近い人物の小説ということで、いつか読もうと思ったいたので一気に読んでみた。理系的思考の流れの、エッセイっぽい小説。

「日常」では、30代前半の水柿君の、ミステリー好きの妻の須磨子さんとの出会い、ふたりの日常、助教授としての日々等が描かれる。S&MシリーズのSっぽい。

「逡巡」では、珍しく出張についてきた須磨子さんとの話、彼女に勧められて小説を書き始め、出版社に送ると出版が決まり、というような流れ。

「解説」では、助教の給料の10倍の印税の使い方、家や土地を数億円で買ったり、車を数台買って倉庫を作ったり、リノベに数百万使ったり、犬を飼い始めたり、パリ・ロンドンで暮らしてみたり、どうやったら少しだけ嫌われるか考えてみたり、そして、引退等の話等。


話がよく逸れ、同じ音で違う漢字が度々挿入される。
水柿君のような理系がそばにいたら、わからないことの細部も教えてくれて便利そう。須磨子さんは、文系でよくいそうなタイプ。細部を気にして追求する水柿君と、どうでもいいことは大雑把な須磨子さんはいいコンビ。
個人的に笑ったのは、水柿君がアメリカに出張時、先輩の研究者と車で移動していた際、運転していた先輩が、水柿君に「窓の外を見てごらん、モウモウがいるよ」的なことを言うところ。モウモウって…。この人は自分がモウモウと言ったことに気付いていない。妻と赤ちゃんが同乗していたとはいえ。そして、その後帰国し、出世するらしい。フィクションかもしれないけど。

追記:水柿君は印税をもらわない場合の本の価格を、実際自分の本で試して調べる。その結果は40%割引になるとのこと。

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