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☆本#430,431 裏切り「氷結 上下」ベルナール・ルミエ著を読んで

著者のデビュー作で、セルヴァスシリーズ1作目。
解決までの長い紆余曲折、主人公の負傷、最後の最後の急展開といったパターンはここから始まっていた。

雪と氷に閉ざされたピレネー山脈にある水力発電所で、馬の首なし死体が発見された。馬主の政治的圧力で、上層部から特命を受けたセルヴァズが現場へ向かう。憲兵隊のジーグラーと捜査を開始するが、関係者が何か隠している様子で姿を消す。

現場でなぜかピレネーの精神医療研究所に移送されたハルトマンのDNAが見つかり、研究所に出向き、ハルトマンと対面する。ふたりは共にマーラー好きとわかる。グザヴィエ所長は、完全隔離で脱走は不可能だという。

その頃、研究所で働き始めたベルクは、偶然所長とフェルネ看護師長の会話を聞いて不穏なものを感じる。その後、夜中に部屋の前を通る足音に気付き、後をつけたり、所長や看護師長が不在時に、彼らのPCを調べ始める。

そんな中、男の死体が渓流の橋で見つかり、またもハルトマンのDNAが発見される。現場調査、聞き込みから、セルヴァズは15年前に起きた事件との関連性に気付き、その線で調査を始める。

途中、元予備判事のシールと知り合い、彼が持っていた事件資料をジーグラーと共に、調べる。が、ジーグラーが実はその事件と深く関係していたことに気付き…。


セルヴァズの娘で10代のマルゴの恋愛、セルヴァズの部下のエスペランデューの調査状況も挿入。彼の癖と妻の関係って…。

元予備判事との会話で、選挙で以下3人の候補者の中から誰を選ぶか、というのが出てくる。

一人目は高血圧や貧血、その他さまざまな重病を患っていて、時に嘘つきで、占星術師に意見を求め、妻を裏切り、チェーンスモーカーで、マティーニを飲み過ぎている男。二人目は肥満で、3回も選挙に落ち、うつ病で、2回心臓発作を起こし、葉巻を吸い、夜はシャンパンやポルトやコニャックやウイスキーを飲んで、寝る前には睡眠薬を飲む男。三人目は戦争で勲章を受け、助成を敬い、動物を愛し、ビールをときどき飲むくらいで煙草は吸わない。

氷結 下

上記候補者は順に、ルーズベルト、チャーチル、アドルフ・ヒトラー。で、物事は見かけと違う、と。「戦争で勲章」ってのが注意点かな。


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