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☆本#467,468 呪縛からの解放「もう別れてもいいですか」柿谷美雨著、「財布は踊る」原田ひ香著を読んで

「もう別れて…」は58歳の主婦が主人公。著者の作品は何冊か読んでいるけど、基本著者と年齢が違い女性が主人公。

主人公の澄子の元に高校の同級生から喪中はがきが届く。てっきり彼女の親のことかと思ったら、夫のことだと気付き、唐突に羨ましいと思ってしまう。
澄子の夫は、子育てを手伝うこともなく、いつからか高圧的で人のことをバカにする。澄子はふと夫はいつ死ぬんだろう考えてしまった。もしかして夫よりも先に逝くことになったら嫌だと感じ、離婚を思い立つ。
が、長らく押さえつけられ、自分は何もできないと洗脳されていたので、行動に移せない。
でも、離婚に同意してくれた長女や、学生の頃親しかった友人のアドバイスを受け、少しずつ行動し始め…。

団塊世代の女性は、家父長制の洗脳というか、呪縛がありそう…。


「財布…」のほうは複数の語り手で、全6話。

1話目。主婦のみづほは少しずつお金をためて、ついに家族でハワイに行き、欲しかった財布を購入する。が、帰国後、夫の借金が膨大で、泣く泣くそれを手放す。
2話では、その財布を購入した男性が語り手。父親が生活保護を受けていて、大学入学と同時に家を出るよう言われる。バイトでなんとかやりくしていたけど、ちょっとしたつまずきで全てが回らなくなり、大学をやめ、怪しい仕事につく。が、いつも辞めたいと思っている。ある日、高校の同級生とばったり出会い…。

その後、1話で出てくる善財と、彼女が関わった女性ら、2話の男性の友人も語り手として出てくる。最後はみづほが再び登場。
夫の借金、親が生活保護、奨学金の返済、投資の失敗等々、それぞれ負の要素があり、それを地道な努力で乗り越えたかどうかで明暗が分かれる。

冒頭で、シャワーの水がお湯になるまでに6リットル、という話が出てきてちょっと気になった。



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