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☆本#360,361,362 密室「封印再度」「幻惑と死と使途」「夏のレプリカ」森博嗣著を読んで

「封印再度」の英語タイトルは"Who inside"で、ほかの作品も英語タイトルつきで、意味あり。
犀川助教授の妹が萌絵に、彼女の知人の一族の家宝の壺と鍵・密室ミステリーを話すことから話が始まる。それは、50年前に日本画家が謎の死をとげたというもの。今回、その息子も死体となって発見され、彼の娘も事故に遭遇。いつものように萌絵が解明に乗り出すも、貧血で倒れる。これがきっかけで、ある意味とんでもない展開が起こる、犀川助教授妹と萌絵の間に。
この展開で、この5冊目が当初完結作だったことを改めて思い出す。

「幻惑と~」は、天才奇術師が衆人環境のショーの最中に殺され、遺体が葬儀後霊柩車から消失し、現場にいた萌絵が解明に乗り出し…。
冒頭に、萌絵の高校の同級生の杜萌(ともえ)が登場し、実は同時進行で進んでいたミステリーが「夏のレプリカ」。なので、前者は章が奇数で、後者は偶数設定。
いつも動機については深堀りしないのが(既に殺されていて解明不可能なため)、最後の、ある意味イリュージョンが実行されることで、ここでは多少描かれている。そこは、感情的で新鮮。

「夏のレプリカ 」では、前半は杜萌が語り手で話が進む。萌絵と久しぶりに再会した後、2年ぶりに帰省すると、新人と思われるお手伝いさんがいて両親と姉はおらず。兄は部屋にいるも、その部屋のドアは鍵がかけられていて会わず。翌朝、突然仮面をかぶった男に連れ出され…。結局、誘拐されていた両親らは無事戻り、杜萌も無事。犯人はひとり逃亡し、ふたりの男女が銃で殺されているのが発見される。兄がいないことに気付いた杜萌は、なにか秘密があることを察知し、自分が兄を探そうとする。
後半、萌絵の洞察で事件の全貌が解明される。語り手の話をどこまで信じていいか、がポイント。

このシリーズの完結作まであと3冊。今回もページ数がそれぞれ約500ページぐらいはあるんだけど、9冊目は700ページ近くあって、10作目は800ページ以上で、どうやら1冊目で不自然な消え方をした四季が、やはり登場するようだ。



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