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映画「土を喰らう十二カ月」を観て

2022年秋公開。水上勉の料理エッセイが原案で、長野が舞台の12カ月。撮影には1年半かけているらしい。
作家のツトムは、長野の古民家で犬のさんしょ(妻が山椒が好きでそれから命名)と暮らしている。妻は13年前に亡くなった。が、遺骨は未だ家に置いている。

冬、雪景色。担当編集者で恋人の真知子が東京から訪ねてきて、干し柿・抹茶や、料理でもてなす。

ツトムは9歳の頃に口減らしのため禅寺へ奉公に出され、精進料理を学んだ経験があった。ので、日々大きい窯でご飯を炊き、庭に植えていえる野菜を取ってきて料理を作る。

春、ツトムは、すこし離れたところに住む妻の母親に会いに行く。食後、自家製の味噌をもらう。その際、妻の骨を置きっぱなしにしないで納骨するよう言われる。

夏、対談の依頼があり、世話になった寺の住職の妻を探してもらうが亡くなっていたことがわかり、対談は断る。その後、その娘が訪ねてきて、住職にならった梅酢ジュースでもてなすと、60年前に漬けたという梅干しを渡される。

秋、義母が亡くなり、妻の弟夫婦が葬式をツトムの家でするよう頼む。断れず、ツトムは棺や写真等の手配をし、通夜振る舞いの支度もする。真知子も手伝う。葛でかためたゴマ豆腐は、たくさん集まった弔問客に大好評。

葬儀のあと、真知子にここでいっしょに住まないか提案すると、ちょっと考えさせてという。

秋、ある日いつものように訪ねてきた真知子は、庭にある陶芸の窯の中に倒れているツトムを発見する。九死に一生を得たツトムは、いっしょに住んでいいという真知子に対し、断る。考えたいことがあるという。

結局、妻と義母の遺骨は池にまく。

老いてからも先が長いと思うと不安になるけど、その日一日を暮らせばよいと考え、夜寝る前「みなさん、さようなら」と別れを告げることにする。目覚めるとその日を過ごし、夜寝る前また別れを告げる。


メインは精進料理なので肉は一切出てこないけど、そんなの気にならず(というか、気付かず)、どの料理もおいしそうだった。料理は土井善春が担当。その時々の素材を使い、環境さえもうまく利用している感じ。

主役はおなかが若干ぽっこりの主人公はいかがなものかと少し思ったけど、全体的になんだかいい味出していて、毎日映画コンクールでは男優主演賞を受賞していた!

原案の水上勉のエッセイを読んでから、映画用の本のほうも読んでみようかな(後者はレシピ付き。ゴマ豆腐にはかなり興味あり)。

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