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逆境が人を強くする~裏切り、赤字、仲間の存在~


■裏切り、四面楚歌、嘘の充満、村八分

今まで、ずっと誰かと働いてきました。
2008年にリクルートに入社をして、10年間、HR街道まっしぐら。
もちろんたくさんの仲間が周りにいて、
一緒に同じ方向を向いて走る感じがたまらなく楽しかったです。

2018年1月。
中米のベリーズへ単身移住。
最初は、現地の旅行会社に勤めました。
日本人のお客様を対象にし、
日本人は社長と私。
あとは、ベリーズ人のスタッフとドライバーの4人の会社。

2018年の秋に独立して、現地で起業。
これまでと同じく、観光の会社を立ち上げました。

「自分の資金で、もっともっと革新的なことにチャレンジし、
ベリーズの国興しをしたい!」

そんな気持ちでした。

ただ、私は現地では、当然ながら、外国人。
しかも、観光立国のベリーズで、外国人が会社を建てるのは、
至難の業です。


なので、全くもって、簡単ではありませんでした。

ベリーズ人の共同経営者が必要だし、ビザも発行してくれないし、登記もとにかく遅い。

実は、色んな嫌がらせにも遭いました。
裏切り、四面楚歌、孤立、嘘の充満、村八分…
今では思い出すと吐きそうになるほど、当時はしんどかったです。

でも、そんな暗闇でも、実にたくさんの方に協力していただいて、
光が射し、何とか、形にできました。
本当に、感謝してもし切れません。
人の温かさというのは、極限でこそ感じられるということを、知りました。

今、ここで私が生きていられるのも、その時に、
手を差し伸べてくださった方々のお陰です。



■「利益=生活」が本質を見失う


ただ、0→1というのは、本当に大変で、
最初は当然ながら、利益なんてほとんど出ません。
というか、むしろ、赤字続きです。
スタートアップなんてやったことないから、
発生することが未知すぎたし、
海外なので、それが予測不可能なことも多々。
経営はリクルート時代にお客様から学ばせてもらったけれど、
実際にやるのは、もちろん初めて。

そして何より、
「利益=生活」
ということがダイレクトになります。

元々は、
「顧客第一主義」で、
「リピートこそ最大の価値」
「紹介こそ最高の価値」
ということを大事にしてきた私でした。

今まで、BtoBの世界で生きてきたからこそ、
BtoCでお客様の表情を目の当たりにする機会が増え、
その難しさと面白さを知ることができました。

特に、観光業は、
結果が何事もなく安全に100%で帰宅できて、普通。
200%で感動。
99%だと不満
で終わります。
そういう世界。
だからこそ、
お客様にとって、一番のサービスとは何か?
どんなことをしたら喜ばれるか?
ということを追求することも、新たな挑戦で、
すごくやりがいがありました。


ただ、、、
こうもまぁ、赤字が続くと、
1つ1つの小さな仕事で利益を出そうと、
色気が出始めてしまったのです。

その瞬間、私は、崩壊しました。

利益が出ないと、
生活はもちろん、会社の投資も出来ないし、
誰かを雇うこともできないし、
何より、心の余裕が生まれない。

そんなことは、分かっていたけれど、
自分が半年間以上、
アタックし続けたお客様がベリーズにお越しになったのですが、
最終日にクレームが発生。

「お金、返して」
「こんなやり方してたら、お客様、失うよ」
もう、目の前が真っ暗になりました。

めっちゃ怖くなって、即、返金しました。

自分がマネージャー時代に、
メンバーが、納品後に、
「お客様から返金しろ!って、言われています…」
って言ってきたら、
「で?」
って言ってたのに・・・。

やっぱり、一人だと、
「これで、悪評が広がるんじゃないか…」
「返金したら、笑顔になってくれるかな…」
って怖くなりました。

そして何より、
「顧客第一主義!」
とかなんとか言ってた自分じゃないの?
って、情けなくて、惨めな気持ちでいっぱいになりました。


絶妙なプライシングと顧客満足の狭間で、
何が正解か分からなくなり、
どこまでやればいいのか分からなくなり、
混乱してしまったのが、当時の情けない私です。

結局、今振り返ると、私には、揺るがない大儀も、
それを乗り越えられるほどの覚悟もなかったな、って思います。

木を見て、森を見ず。

典型的な小心者でした。



■「仲間」が必要


そこからたくさんの本を読み漁ったり、
色んな経営者の方から教えてもらったり。
一番勉強になったのは、
実家が愛知の田舎で50年以上続いているガス水道屋なのですが、
その社長(叔父)からのアドバイスでした。
そうして学びを得て、
やっと、少しずつですが、
利益が出るようになっていきました。

でも、、、
例え利益が生まれたとしても、
それに対して、これっぽっちも、嬉しくなかったのです。

その後は、お客様から、お褒めの言葉をいただいても、
新しい斬新なアイディアが浮かんでも、
全く嬉しくなかった。


もちろん、それ以降、
満足した様子でお帰りになる何人かのお客様を見て、
ホッと肩を撫で下ろすような、安堵感はありました。

でも、次のお客様のことを考えると、
また緊張して、表情が強張る、そんなことの繰り返し。
「嬉しい」とか、「モチベーションが上がる」とか、
そんな感情は、失っていました。

Cost Managementのエクセルシートは、毎日にらめっこし、
隣国メキシコへ営業にも行きました。

メキシコには、1万2000人の在住日本人の方がいらっしゃいます。
なので、その方々にベリーズへ遊びに来ていただくべく、
めちゃくちゃ営業をして回りました。
・日本語の月刊フリーペーパーの特集記事
・同紙の毎月のコラム執筆
・メキシコの旅行代理店へのベリーズ勉強会実施
・同代理店の営業同席
・某有名企業の副社長・総務アポ

実際にお越しになったお客様には、
最高な旅にするために、必死に準備し、当日は盛り上げていきました。


ほんと、必死でした。
でも、誰も共感してもらえる人がいなかったことが、
当時、すごく寂しかったし、辛かった。

「あぁ、私は1人でやることは向いていない。仲間が必要だ」
って強烈に感じたのは、
1人でやってみて、改めて感じたことでした。



■「好きな業界」と「仕事にしたい業界」は別物


【旅】は心底大好きです。
旅行を通じて、
綺麗なもの見たり美味しいものを食べて幸せ感じたり、
本当の自分に向き合う時間を持てたり、
仕事の新しいアイディアが生まれたり・・・
とまぁ、人生において、
定期的な旅という非日常が、日常を豊かにすると思っています。
趣味と仕事がオーバーラップしていく感じは、面白かったです。

でも、一方で、
「旅は、あったらより豊かになるけれど、
 極論、なくても、生きてはいける」
そう感じるようになっていきました。

そして、元々、リクルート時代にやっていた
HR(組織/人材/採用/評価/育成等)ビジネスに戻ろう、と。

キャリア=人生は、追求し続けるものだし、
働くということは、人生において切っても切れない。

何より、自分にとって、人生を懸けてやりたいと思えるものは、HRだ。

そう思えた時に、私は、ベリーズの観光業は副業で、
「本業としては、HR業界に軸足を置く」という覚悟が決まりました。


そうして今、少し寄り道をしましたが、HRの道へ戻ってきました。
・海外移住
・海外で働く
・起業
・観光業への挑戦
これらは、私にとって、
リクルートだけでは得られなかった
めちゃくちゃたくさんの経験と勇気と人脈を創ることができ、
一回りも、二回りも大きく成長させてくれました。


「人生のインターンシップを経験できたなぁ~」
恩師に、そう、言われました。

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