すーちゃんの話
4年ほど前。
亡くなった父を呼んでみたら、空にぽかんと穴が開いて父がこちらを覗いてきた。
お?来るか?と思ったら、穴から元気で若々しい青い龍をこちらに放り投げて、そのまま父は消えてしまった。
そこからその青い龍は、すーちゃんと名付けて
背中に乗って日本中、世界中、宇宙まで色んなところに連れて行ってもらった。
すーちゃんに会いたい時は、眠るとき、ゆっくり深呼吸しながら、いつもの砂浜に行けば良い。
すーちゃんは砂浜で休んでいるから、私も背中に乗ったり、抱きついたり、砂浜に座ってすーちゃんを背もたれにしてうたた寝したりする。
時には誰かのお家の中に。時には林を抜けて小高い丘の上に。ロシアに。栃木に。瀬戸大橋に。
すーちゃんは面白いところに連れて行ってくれる。
すーちゃんはラムネが好きだ。
今日。久しぶりにすーちゃんに会いたくなって砂浜に行ってみた。
見たことがない、綺麗な金色の龍が休んでいた。
大人っぽくて優しい雰囲気。
抱きついてみたら、すーちゃんだった。
これから金色になったすーちゃんは私をどこに連れて行ってくれるんだろう。
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