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滞在許可の更新でウロタエル

滞在許可の更新をした。

国籍を持つ国以外の土地に住む場合、そこを領土とする国から許可を得ないと住むことができない。そして今私が住んでいる国ではその許可に期限が付いていて、毎回期限が切れる前に更新手続きをしなければならない。

グローバル化だ国際化だと言っても、国と国との間にボーダーはしっかりとある。

フランス社会のシステムを理解し順応する、と誓約書にサインをしなければ許可はもらえない。社会のルールを守り納税し、一定レベルのフランス語を理解し話し交流できるようになることが必須。特別に難しいことは何もない。社会の秩序を守り悪いことを企まず、普通に生活していれば良いだけのことだ。

結婚をして10年以上も経っていれば、運転免許の更新に毛が生えたような手続きをすればいいだけのこと、と思っていたが、今回は前回と違うところがいくつかあった。


流石にウロタエ過ぎだろ

突然のメッセージにウロタエル

実はそろそろ更新だと思っていたある日、スマホに突然怪しいメッセージが届いた。

フランス内務省警察本部(滞在許可証の管轄機関)から「こんにちは(Bonjour)」で始まるカジュアルな文面。政府の公式メッセージがこんな軽いノリってことあるの?

むむっ。ピンときた!これはきっと詐欺だ!

ここのところ無言電話は多いし、明らかに身に覚えのない怪しい内容のメッセージが頻繁に送られてきている。私の電話番号が掲載された名簿が詐欺集団にでも売られて悪用されているに違いない。

一応フランス人である夫にそのメッセージを見せ、詐欺であろうと確認を取ってから着信拒否をして削除した。

添付のリンクをクリックしたら莫大な額の請求書が送られてくるヤツに違いない。もしくはスパムウェアに感染させられるヤツかもしれない、なんて思いながらも難を逃れてホッとしていた。

その後、公共手続きのネット化が進む時代の流れに合わせて変化する更新の手順を検索し、政府の公式サイトからマイページを見つけてそこから必要書類を提出した。役所の人に尋ねたら、今はもう全部ネットだから自分で検索してちょうだい、と言われたのだ。

すると1週間ほど経った頃にその公式サイトから、あなたの申請はこちらでは受け付けられません、と返事が来た。なぬ?

メッセージを読み進めると下の方にリンクが貼ってあり、あなたはこちらから申請してください、とある。ふむ。

リンクをクリックして申請を進めると、あっという間に面談の予約が取れた。揃える書類も身分と住所を証明するものだけで良いとのこと。

そしてその予約の確認メールを開いた時、思わずフンガっと息を呑んでしまった。

それは私が詐欺だと思い込んで着信拒否をしたメッセージと同じ「Bonjour」で始まるカジュアルな文面だったからだ。お?もしかしてもしかして?

早速夫に見てもらうと、うーん、と唸った。

もしかしたら詐欺だと思って削除したメッセージは本物だったのかもしれない!

前回更新をした際に電話番号書いて出したが、この10年の間に私は一度番号を変えている。届出をしていない電話番号に送られてきたメッセージだから余計に怪しんでいたのに。。。どうやって今の私の番号を知ったのだ?


家族構成を尋ねられてウロタエル

今回面談の際に記入しサインして提出した書類には、国内外にいる兄弟姉妹のフルネームを書く欄が設けられていた。以前はそんなものなかった気がするし、書く必要もなかった。係の人から書くように指示されたので書くには書いたが、なんだか変な気分だ。

後ろめたいことは何もない。だけど今まで露ほどにも関心がなさそうだった私の日本側の家族構成を、今さら必須項目として書いて出せと言われるとなんだか嫌な気分になる。

聞いてどうするのだ?社会保障でもしてくれるというのだろうか?

ちなみに家族欄は配偶者と子供の名前を記入する欄があり、これは以前から変わりない。


指紋採取にウロタエル

今回初めて両手指10本全部の指紋登録をした。

私が子供の頃、在日外国人の指紋登録制度に抗議をするニュースを見たことがある。当時指紋登録を義務付けられていたのは外国人と犯罪者だけだったからだ。指紋は個人情報の極みであり、むやみに人手に渡すものではなかった。

あぁ遂に自分もかぁ、なんて憂えんでいたら、今時はもうみんな普通に指紋登録するのだと聞いてまた少し複雑な気持ちになった。

時代は流れ、普通の概念も変わってゆくのだねぇ。

それにしても私の指先はツルツルでなかなか指紋登録ができずに苦労をした。挙げ句の果てには立ち上がって力一杯機械に押し付けて!と担当の人に言われ、必死のパッチで指紋採取をした。

立ち上がって声援を受けながら機械に指を押し当てているのは私だけ。周りはみんな静かに座ってスマートに手続きをしている。あー恥ずかし。

指紋採取の機械はミニコピー機のようなもので、透明なガラス板の下から光を当ててコピーを取るのと同じ方法で写しているらしい。

指紋に薄いとか濃いとかがあるだなんて全然知らなかった。


滞在許可証の受け取りでウロタエル

何はともあれ無事、更新申請書にサインをして本人確認の必要書類と共に提出したら、滞在許可証が出来上がったらSMSかメールで連絡がくるから、と言われた。

2ヶ月程で出来るから、そしたらこの予約サイトから予約をして取りに来て、と受け取り手順の書かれた書類を渡された。え?また予約?

どうやら出来上がった滞在許可証を受け取るには、またネットで予約を取らなければならないらしい。混雑を避けるためだろうが、予約サイトからの予約はいつも一杯ですぐには取れない、とも言われた。数週間先になることもあるらしい。

だったら今から前もって2ヶ月先の予約を取っておいてもいいですか?と窓口の人に尋ねたら「それがいいわ。許可証が出来るのに2ヶ月以上かかることはないから」と言われた。

家に帰って受け取り専用の予約サイトを開くと案の定、すでに2ヶ月半先の予約しか取れない状況になっていた。モタモタしているとオリンピック期間中で警戒体制MAXの時にパリのど真ん中まで出向かなければならなくなってしまう。

慌ててその時点で一番早い2ヶ月半先の予約を取って、先日遂にその日が来た。

結局、滞在許可証が出来たというメッセージもメールも届かなかった。本当に出来ているのかどうか不安を抱えたまま出向くと、あっさりと新しいカードを手渡された。

窓口のおじさんに小さな声で、カードが出来たって連絡なかったんですけど。。。と言ったら、2ヶ月も前に申請したなら出来てるよ、と当然のように言われてしまった。

役所の人は毎日同じ書類を見て同じ手続きをしているから「当然」と思ってるかもしれませんが、10年に一度しか手続きをしない私にとっては全然「当然」じゃないのにさ。


10年後もウロタエルのだろうか?

はてさて、今度また10年後に更新する時には何がどう変わってどんな手順になっているのだろうか。滞在許可証もカードレスになって、スマホでダウンロード出来るようになっていればいいのに。

いちいち予約を取って何度も役所に出向くのって大変なんだから。

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