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できれば真夏は避けておいでませ

フレンチリヴィエラへおいでませ的なことを書いたばかりだが、どうせおいでますなら真夏は避けてお越しいただきたい、とここに付け加えておく。

10年ほど前ならそんなことは言わなかったかもしれない。

海沿いの街にしては日本ほどの湿気はないし、暑いことは暑いが日陰は涼しく海風が心地よくて過ごしやすい土地だからだ。


猛暑日が増えた

ここ数年、コロナ前くらいから湿気を伴う猛暑日が増えた。ただ暑いだけなら日陰でかき氷でも食べていればいい。だがこの頃は日陰でじっとしていても汗の噴き出る暑さだ。

南仏の日差しの強さは年々増している。数分日向に立っているだけでジリジリと真っ茶に焦げついてしまう。素早く小麦色のマーメイドになりたい人にはおすすめだが、焼きたくない人には過酷な気候だ。

加えてエアコンを設置していない施設がまだ多くあることも伝えておかなければならない。エアコンが効いていても緩い温度設定にしてあったりして余計に汗が噴き出ることもある。ミネラル不足で体調を崩しかねないから要注意。

ここ数年、熱中症で倒れる人を見かける回数が増えた。旅行者ハイで元気に動き回れたとしても、そのツケは必ずどこかで押し寄せるだろう。

だからどうしても真夏にしか休暇が取れない人や暑さに強い人以外は、夏真っ盛りは避けて春秋初夏晩夏で気候の良い時期にお越しいただきたい。

冬のリヴィエラも悪くはないが、休業している店が多く、海のリゾート感が半減するので激推しはしない。


嵐は避けたい

できれば悪天候の時期も避けたいところだ。雨や風が強い日の外歩き観光はキツイ。ちょっとした雨ならいいが、空が落っこちてくるんじゃないかと思うくらいに酷い嵐だと外出自体が難しい。南仏の本気の嵐はまるで巨神たちが大きな杖で大気をグチャグチャにかき乱しているんじゃないかと想像できるほどに凄いのだ。

前回も書いたが美術館はこじんまりしているし、時間をかけて見て回れるほどのショッピングスポットもない。南仏観光は好天あってこそなのだ。

最近では温暖化の影響でいつ何時異常気象が起こるか分からないから断言はできないが、5月6月、9月頃が良い時期ではないかと思う。

カーニバルが開催される2月から3月にかけても良い時期だが、まだ少し寒いのと天候が不安定になる4月からの前倒しで愚図ついた空模様になる可能性が高い。

個人的には10月から11月にかけての季節が好きだ。雨の多い時期だが、カラッと晴れると空が高くて爽快。夏のホコリがサァッと流されて空気がピカピカになるから好き。夕焼けの色が深く濃くなるのもこの時期。めっちゃキレイよ。

自然豊かな土地だけに春は花粉の飛散が増えるので、春の花粉症を持っている人には秋がおすすめです。


不便な交通機関

真夏を避けて欲しい最大の理由は交通の不便さだ。

南仏の観光は村から町へ、町から村への移動が多い。そして観光客が主に利用する移動手段は電車とバス。どちらも公共交通で地元の人が通勤通学で普段利用しているものだ。それを夏に押し寄せる観光客が一斉に利用し始めるとえらい混雑になってしまう。

のどかな南仏の町や村を通過する電車やバスにギュウギュウ詰めで人が乗っている。乗客たちが汗だくでギュウギュウに詰まっている電車やバスに、それでも乗れたらいい方だ。

混み過ぎると乗車拒否されることもある。2台も3台も、ラッシュが終わるまで乗れないこともある。

何なら乗れずに待っている間に急にトラブルが発生して運休になることもある。駅の緊急アナウンスは雑音混じりで聞き取り難いフランス語だし、バス停ではアナウンスすらない。

観光客は途方に暮れ、自力で宿泊施設まで戻る手段を考えなければならない。まるで有無を言わさず急にサバイバルゲームに巻き込まれるようなものだ。

公共交通機関がそんな調子だと、車で移動する人が多くなる。

電車やバスだけでは直接行けないような場所もあるし、車で移動する方が早くて便利なこともある。だけど目的の村へは一本道しかない。渋滞に巻き込まれるとお手上げだ。

とにかく天気の良い祝休日や通勤通学ラッシュ時には渋滞が頻発する。そして観光シーズンがピークになる夏は普段以上に混雑する。できれば避けていただいた方が気持ちよく散策ができるのではないかということで、


真夏、バカンスがピークになる頃、特に猛暑日が続く時期は避けておいでくださいましたらいいかな、と個人的には思うのです。


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