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心揺さぶる映画のはなし。

「またぁ、心揺さぶるとか、この人どんだけ心揺れてんの毎日。。。」とか思われそうですが、はいすみません。今日も元気に揺れております安藤ですこんにちは。皆さんはお元気にされてますでしょうか?

さて、今日はみなさんに、一本の映画をご紹介させて下さい。

ちょうど私、ロックダウンが始まる3月半ばの少し前、ちょうど2月末から3月の頭にかけて映画の撮影をしておりました。

「Submittan(サブミッタン)」という作品で、舞台は世界が崩壊した2035年。人々は経済破綻で立ちゆかなくなった世界の大都市から、Submittanと呼ばれる移民都市に移り住むようになります。私の役どころは、そのSubmittanに暮らす、2人の娘のシングルマザーでアーティストのChase。生活費を捻出するのに必死のChaseは、政府が打ち出したキャンペーンに加担するようになりますが、実はその政策には黒い影が潜んでおり、、、といった具合にお話は展開していくのですが、

ごめんなさい。前置きが長くなってしまいましたが、今日ご紹介したいのはその映画ではなく、その「Submittan」の監督さん、Susumu Kimuraさん(凄腕エディターさんでもあります)が、共同プロデューサー/エディターとして関わっておられるドキュメンタリー映画「I Have The Victory」という作品をご紹介したいと思います。(Submittanは今ポストプロダクションの真っ只中なので、また完成が近づいたらここでお知らせさせて頂きたいなと思います。)

まさにこの間アップした記事(いのりのはなし。)を書いている時に、ちょうど監督さんから送られてきましたこちらの映画「I Have The Victory: Crenshaw Elite Choir(クレンショウ・エリート・クワイヤー)」は、クレンショウという地区にある高校の音楽教師を務めるアイリス・スティーブンソンさんと、そのクワイヤーグループのメンバーにフォーカスを当てたドキュメンタリーです。

映画の冒頭でちらりと出てきますが、教師アイリスさんは「Sister Act 2 (邦題:天使にラブソングを2)」でウーピー・ゴールドバーグ演じる、歌って踊るシスター・デロリスのモデルになった人物です。

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クレンショウ高校は、ロサンゼルスの犯罪多発エリア、もっとも治安の悪いと言われるサウスセントラルの一角にあります。ブロードウェイの音楽監督を務める傍、大学で音楽教授していたアイリスさんは、荒廃した高校を改善すべく、クレンショウ高校に音楽科主任教師として着任。聖歌隊を発足させ、なんとグループを世界合唱オリンピックで優勝へと導き、それだけでなく、街の犯罪率の低下にも貢献したとロサンゼルス市警より表彰を受けた、というなんともすごい方。このクワイヤーグループ、世界の国々で(日本にも2度訪れているそう)公演し、その歌・踊りたるや、圧巻の迫力。またオバマ大統領など、世界各国の要人達の前でもパフォーマンスした事があるそうです。

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これだけ聞くと本当に映画のようなお話ですが、クワイヤーグループのメンバーの高校生達と、アイリスさんに焦点を当てて進んでいくこのドキュメンタリー、思わず身体が動いてしまう素晴らしい歌と音楽、躍動感溢れるステッピングと呼ばれるアフリカン・アメリカンの伝統的なダンスムーブメントの数々だけではもちろんなく、力強く前を向いて明るく生きる彼、彼女らの影の部分に寄り添い、日々を生きる日常を隣でじっと見つめます。

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生後2週間の時に、ミルクを買いに行っていた母親がギャング抗争の流れ弾で首を打たれ、叔母と生活しながら、車椅子の母親の世話を手伝うロドニー。

鎌状赤血球症という難病を持ちながらも、にこにこと明るく笑っているロケッタは、自分の母親がどこにいるか知らない。

心優しいジョバンは、ステレオタイプと社会構造の間で、自分の中の葛藤にもがき、苦しんでいる。

アメリカという国で、アフリカ系アメリカ人であるという事はどういう事なのか?その一部を、彼、彼女らのすぐ隣にいながら進む約2時間。

このドキュメンタリーを監督されたWataru Ezakiさんは、メンバーと一緒に5年間を過ごしたそう。映画のいたる所に監督さんの、まるで家族をみるような、親しみと愛に溢れる眼差しを感じます。

ちょっと話は飛びますが、アメリカに割と長いこと住んでいても、友人の間でする時はすごくするけどしない時は全くしない、人種の話。(気にしていないという訳ではなく、話したがる人、話したがらない人がいるので、人によってそのスペースが違う。)長い間知っているアフリカ系アメリカ人の友人と先日テキストメッセージで会話のやりとりをしていた時に、今回の一連のムーブメントの事がきっかけで、彼が過去の自身の受けた差別の経験を話してくれた時、私は何と言ったらいいのか、正しい言葉なのかどうか分かりませんが、それを知らなかった事をごめん、と申し訳なく思いました。

「もっとよく理解したい」という気持ちで映画を観させてもらったのですが、観終わる頃には、学ばせてもらっただけでなく、彼、彼女らに生きる力までもりもりもらった私。英語ですが、本当に一人でも多くの方に観てもらいたい映画です。(もしも日本語字幕がつく事があれば、その時はまたお知らせさせて下さい。)

この映画、実は11年前の2009年に撮影・編集されたそうなのですが、今回の一連の事件で、監督のWataruさん、そしてSusumuさんの意向で、一人でも多くの人に観てもらいたいから、映画を自由にダウンロードしてシェアして頂いて構わない、という事で、フルムービーのリンクを貼らせていただきました。もしお時間があれば、ぜひ観てみて下さい。そしてもし宜しければ、自由にシェアして頂けると嬉しいです。


アメリカでは、6月19日はJuneteenth(ジューンティーンス)という、アフリカン・アメリカンの奴隷解放記念日でした。この週末はJuneteenthウィークエンドで、父の日、日食も重なってと賑やかな日曜日になりそうです。

私は父の日に「ちょっと贅沢なお茶漬けセット」なるものを送ってみました。皆さんが良い父の日を過ごされてたらいいな。

日本は今日からまた新しい週ですね。それでは皆さん、Have a nice week:) 










えっ、、、、神様ですか?