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「絵本日記」【おばけのキルト】

【おばけのキルト】
文:リール・ネイソン
絵:バイロン・エッゲンシュワイラー
訳:石井睦美



キルトは、みんなとちょっと違うおばけ。
パッチワークでできている。
ママもパパも友達もシーツなのに…
みんなは飛べるのにキルトは飛び上がるのも大変だし、飛ぶのもゆっくり。
何枚もの布を縫い合わせて、綿が入っている分、重くて高く飛べない。
軽やかに飛ぶみんなが、とても羨ましいキルト。

実は、おばけって人間が怖い。

そんなおばけの楽しみ。
人間のハロウィン。
いろんな仮装をしているのを見るのが楽しみなんだって。
キルトは、ちょっとだけ大胆になって、ベランダの手すりに引っ掛けて人間に近寄った。
そうしたら、バレリーナに仮装している女の子のママに部屋へ連れ込まれちゃった!

友達から「逃げろ!!」と言われてもどうしたらいいか分からないキルト。

外を練り歩いて身体が冷えていた女の子は、ハロウィンで貰ったお菓子を頬張りながら、キルトで身を包む。
慌てたけど、イヤじゃなかった。
むしろなんだか気分がいい。
女の子が寝室へ行って、ママはやさしくキルトをたたむ。「素敵なパッチワーク」とキルトの縫い目をなぞった。

部屋の電気が消えて、誰もいなくなったことを確認したキルトは、うれしくてうれしくて部屋の中をビュンビュン飛び回って煙突から出た。

その絵がとってもかわいい。
キルトのうれしさ度合いがよく伝わる。

心配していた友達がキルトの勇気を絶賛する。
うれしい気持ち胸いっぱいなキルト。

コンプレックスと強みは表裏一体。

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