見出し画像

哲学的展開 :|| デンパスル

それは声、あるいは波動。

それは私、つまりは分身。

世界に投げた私の欠片。


投げ捨てたわけじゃない。

遠くへ行っても見えない糸でつながってるの。


その糸の先の私自身を見つけられるのが怖い。


小さく縮こまって足元ばかりを見てしまう。

下向きの、喉の詰まる感じが苦しくて

暗闇の黒が肺にひとしきりたまった時、

どうしようもなく私は私から逃げ出したくなる。


分身、私はそれを投げ捨てたわけじゃない。

血をわけて、涙を注いだ、ちゃんと私の欠片なの。

一度私から切り離されたもう一人の私。


下ばかり向かなくていいところへ行きたい。

本当にそこへ行くつもりなら、

糸をはりめぐらせてボートを漕がなくてはいけない。

足元じゃない。

自分と目を合わせる必要がある。

どんな汚い色だとしても、どんないびつな形だとしても、

――私。

ここから進んでいく。

ここからしか進んでいけない。