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通り雨

これは多分、暴走する自我と他者への期待の記録
  2020.9.13

雨が頬を濡らす

君を待ってた、なんて嘘だけどね

立ち去れないでいた

何かが変わるような気がして

じっと仰いでた、灰色の雲を


幸福は眩しくて怖い

神経質でそのくせ臆病

考えすぎて勝手に傷つき、のたうち回る

じめじめした不快感がお似合いなんだ

変われなくてごめん


勝手に期待してごめん

無差別なやさしさにくらりとくるほど弱っていたみたいなんだ

ひとときでも満たされていた

気まぐれでも助けられていた

ずっと会いたかったのは本当

さようならを言いたかった

打ち付ける雨に掻き消されるなら言える気がする

もう「君がいる」なんて思わない


誰かにナイフを渡せば思い通りに切り刻んでくれるのか

投げて受け渡して牙を抜いたところでどこに流れ着く

そのままで愛してくれなんて言わないよ、言えない


不良品だから


変われなくてごめん

君は何も悪くない


雲間から光が差したらもうここにはいられない

もし君が頬を濡らしていたならば雨が通り過ぎただけ

雨が通り過ぎただけ


冒頭に書いたように、これはタイトルもそのままで2020年9月に作成していたものの、暗すぎて出せずにいたもの。この文字面の中には救いがない。少し激しい。でも、自分はそこまでひどくないからと思ってもらえるものかもしれないと、思い返してみたりして。私にとって詩を書くことは、どこかSOSに似ている。でも、挑戦状でもある。過去の、今の、私が、すれ違いざまに通り過ぎていく誰かの肩にコツンと飛ばす紙飛行機。届かないかもしれない。それでも構わない。次は届くようにまた考えてみればいい。

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