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急がなきゃ、を手放していこう。

いま焦って向かったとしてもたった2分しか変わらないものだよ。いま急いだところでギリギリなのは変わらないんだから、もう落ち着いていこうよ。

子どもをなだめるかのように、恋人は私にそう言った。

こういうとき、恋人はいつも声と話し方がちょっぴり優しくなる。

そっか、たったの2分しか変わらないんだ。

なんだそれだけか、と私はエスカレーターの右側を急足で駆け上がろうとしていたのをやめて自動で動くスピードに身を任せることにした。

***

25日、恋人と過ごしたクリスマス。

私たちは映画を観にいったのだけれど、モールの5階にある映画館は想像していたより距離があってあと数分で始まるというタイミングで私たちはまだ1階にいた。

早く行かなきゃ、急がなきゃ、と焦る気持ちを抑えきれない私。そんな私とは正反対に落ち着いた様子の恋人。

もう始まっちゃうよ、そう恋人に話しかけたところ冒頭の言葉が返ってきたのだ。

そう言われて私の焦りに焦っていた気持ちはすっと落ち着き、気づくといつのまにか平常心に戻っていた。

もうギリギリで着くということは確定しているのだからと開き直った私たち。その結果は恋人が言っていたとおりだった。

あんなに焦っていたのに。私たちは予告が始まったばかりのタイミングで席につけていた。実のところこんなに早く着けるとは思ってもいなかったし、映画はすでに始まっているだろうとさえ思っていたのだから。

そう、焦ることなんてこれっぽっちも必要じゃなかったんだ。

***

これはふとした日常の出来事。でもなんにでも当てはまる気がする。

はやくできるようにならないと、慣れないと、自信をつけないと。

フローリストとして働きはじめて半年が過ぎたけれど、まだまだできないことだらけ。まだうまくできないのに早くやらなきゃと空回りしてしまうことはよくあること。その度、私はうまくできない自分に落ち込んでしまう。

テンポよく、スピーディーに、効率よく、まだまだ苦手な言葉たち。事務作業やSNSはそもそもできる部分が多く好きなことでもあったから、もうすっかり慣れてなんなら職場の人より知っているなんてこともある。でも技術はそうはいかない。こればっかりは時間と経験が必要だ。

つい焦ってしまうけれど、はじめから最短距離を最速でいける方法を探そうとしなくてもいいのかもしれない。もちろんそのやり方が合う人もいるだろうけれど、私はきっとそうではない。

落ち着いて自分ができるペースで、できる範囲で、コツコツと。

***

2023年も残りわずか。私にとっては今日から31日までがもう一踏ん張りの日々となる。

気持ちよく年始を迎えるためにもあと5日間なんとか乗り切らないと。

そんな意気込みを言ったら、あと指で数えられるくらいで終わるからねと恋人。やっぱり彼でよかった。仕事で落ち込んでもなんとか立ち直れているのは彼の存在があるから。

今年の振り返りは、年が明けて時間に余裕ができたら綴ろう。

みなさんよいお年を。


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