見出し画像

フローリストになるための職業訓練校、卒業しました

職業訓練、友人からいま通っているんだと話を聞いたときの私はそんなものがあるんだねと他人事のような気持ちでしかなかった。

何気なく「職業訓練」と検索してみると、目に入ったのはどこかの誰かが書いたお金を貰いながら勉強ができるという見出し。ふーんと思いながらとりあえず記事に目を通してみる、けれど当時はまさか自分も通うことになるとはこれっぽっちも思っていなかった。

***

花に関わる働き方がしたいと会社を辞めたのが去年の10月。

転職先を調べながらも見つかるのは近くの、駅前などでよく目にする花屋さんでのアルバイトかパートの求人だけ。

花業界は転職エージェントとの相性が悪く、自分で探すしかなかった。そもそもの情報が少ないうえ社員としての雇用はほとんど見つからない、あったとしても花屋勤務の経験が必須で未経験の私には手が届くものではなかった。

花屋といってもいろんな色がある、フローリストと一言で言ってもさまざまなスタイルがある。さて私はどこで経験を積みたいのだろう。どこでスキルを身につけ、誰のもとで働きたいのか。そして私はどんなフローリストになりたいのか。

花に関わる仕事に挑戦するのであれば、環境や人を選んで職場を決めたい。そう漠然と思っていた私はそもそも未経験の立場だと選択肢自体が少ないという現実に直面した。

少ない選択肢の中から選ばないといけない、そして相手からも選んでもらわなければならない。花に関わる働き方がしたいと思い切って舵を切ってみたけれど、実際はなかなかの狭き門だった。

どんな花屋があって、どんな花の仕事があるのか、当時の私は何にも知らない。なんなら花に関わる働き方がしたいという強い想いはあったけれど、こういうフローリストになりたいとか、こんな働き方がしたいとか、具体性は何ひとつ持ち合わせていなかった。

そんなときふと思い出したのが職業訓練。フローリストの学校ってあるのかなと興味半分で調べてみる。そして見つけたのが、数週間後に私が通うことになる花の訓練校だ。

県内でフローリストを養成する講座が開講されていると知り、これはいい機会かもしれないとハローワークの職業訓練の窓口に足を運んだのが去年の10月末のこと。退職してすぐ、応募期限がギリギリだったけれどなんとか間に合って面接にそわそわしていたのが今はなんとも懐かしい。

久々のスーツに身を包み、緊張しながら受けた職業訓練の面接。

「未経験の私が花の仕事に就くためには、知識も経験も不足しています。なのでこの学校で基礎知識を身につけ、花の業界への就職に繋げたいんです」そんなことを話した記憶がある。その面接をしてくれたのが、校長先生と後に担任となりたくさんお世話になるH先生だった。

***

11月中旬から始まった職業訓練校。昨日、修了の日を迎えた。

訓練校で過ごした5ヶ月間は長いようで過ぎてみればあっという間だった。月曜日からもうあの教室に行くことはない、そういうことなんだけれど正直なところまだ実感はない。

最終日、H先生から成績表と修了証明書を受け取った。

このままフローリストへの道のりを進んでいいのか自分の気持ちが分からなったときに先生の前で大号泣してしまったこと、でもそのとき掛けてもらった言葉のおかげでなんとか立ち直れたこと。

感謝の想いを伝えると、先生はこう言葉をくれた。

「よく頑張ったね。あなたが泣きながら相談をしてきたあと、大丈夫かなって気にかけていたのよ。でも今の表情をみる限り、その心配はいらなそうだわ。仕事はご縁だからね、たくさん悩んで考えて泣いた分、あなたがいいご縁に恵まれて本当によかった。花の仕事、頑張って。いつでも相談にきていいから」

嬉しさからなのか安心からなのか、私の目にはちょっと涙が滲んでいた。でも今は泣かないぞと涙を引っ込めたのは最後の強がりかもしれない。

訓練校での日々は、今の自分にとって必要な時間だったと胸を張って言える。あのとき少ない選択肢の中からしょうがないやで次の就職先を選ぶのではなく、社会人としての空白期間はできてしまうけれど1から学んでみようと訓練校に通うことを決めて正解だったんだ。そう思えた瞬間だった。

***

会社員を辞めてから約半年が経とうとしている。気づいたら季節は秋から冬を通り越し、春へと変わっていた。

職業訓練校を経て、いま私は”いつかそんな働き方ができたらいいな”という妄想でしかなかったフローリストへの道のりを歩みはじめている。

そしていま、わたしは改めてやっぱり花に関わる働き方がしたい、フローリストになりたいと思えるようになった。

そのためにいまこうしてフローリストを目指して訓練校に通っているのだから、あのときの選択を他の誰よりもわたし自身が信じてあげないと。あの選択は正しかったんだなといつか振り返ったときにそう思えるように。

この気持ちはこれからも大切にしたい。初心忘るべからずだ。

スタートラインにはもう立っている。自分なりのペースで、フローリストへの道のりを歩んでいこう。

この記事が参加している募集

この経験に学べ

仕事について話そう

日々の楽しみに使わせていただきます!