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【本と食べものと私】日本語訳の出版事情と、メープルシュガーへの憧れ ー 大草原シリーズ ローラインガルスワイルダー著 ー

前回書いた豚のしっぽをきっかけに、たくさんある大草原シリーズをずっと読んでいる。
シリーズの一冊目「大きな森の小さな家」に選んだのは角川文庫、中村凪子さん訳のものだった。何冊かの装丁を見比べて、これ、と思って。そのまま二冊目も同じく角川文庫のものを。

だかしかし。
三冊目の「プラム・クリークの土手で」を読み終わり次の「シルバー湖のほとりで」に進もうとしたところ、ないんですね、角川文庫には。
続きものを途中までしか出してないことってある?(それもこんな名作シリーズ的なものを)と思って検索してみても、やっぱりないらしい。仕方なく、続きは講談社文庫に乗り換えた。

でも、再度。
講談社文庫には「長い冬」がないらしい。ない。
そこで今度は岩波少年文庫を。というか、「長い冬」の日本語訳は岩波少年文庫にしか見当たらない。
だったらいっそ、岩波少年文庫で全部読もうか、と思ったらこちらはこの「長い冬」が一冊目になっている、というなんとも不思議な出版状況。

うーん。
訳によって雰囲気が変わるし、一人の人の訳で、できれば中村凪子さん訳で全部読みたかった。
翻訳の権利とかいろいろと大人の事情があるのかな。

さて、食べ物の話。
このシリーズには毎日の、季節の、行事の、たくさんの食べ物が登場する。
ごく素朴なものも、ちょっと手の込んだごちそうも、それは魅力的で、なんだ、アメリカってこんなおいしそうなもの食べてたんじゃん!とアメリカの食文化を見直すほどの。
(だってアメリカの食べ物と言えば、大きいだけ!ハンバーガーだけ!コーラをガブ飲み!みたいなイメージしかなかった私。ごめんなさい。。。)

驚いたことに、このシリーズに出てくる食べ物を全部(!)作ってみて、それを本にしてくれた人までいらっしゃる(尊敬!)。そしてうれしいことにこれは日本語に訳され、出版されている。が、すでに新刊では販売されておらず、古本を定価以上の金額で購入するという、私は普段まずやらないことをして手に入れた。

というわけで、このシリーズにはそれはそれはたくさんの食べ物が登場するので書き始めるときりがないのだけど、ひとつ、私が一番うらやましく思っている「体験」を含めた食べ物のことを。
それは、メープルシュガー、または(同じことだけど)メープルシロップ。

寒い季節に楓の木から樹液を集め、大鍋で煮詰めてメープルシュガーやシロップを作る。その時のお楽しみ行事として、煮詰まりかけたシロップを、鍋やお皿に平らに敷きつめた雪の上に垂らして固め、ふにゃっとしたキャンディを作って食べたりする。
アメリカやカナダでは、定番の季節の行事なのかな。
今ではあまりやらないかもしれないけど、ひと昔前までは皆がやった、子供の頃にやったな、というような。

例えば日本なら、春にはよもぎの新芽を摘んでよもぎ餅を作るとか。
秋にはきのこを採ってきのこ汁を作るような。
さらに私の経験を付け足すと、初夏に桑の実を摘んでジャムを作ったり、秋の終わりには椎の実を拾って炒って食べたり。。。

つまり私はこういことするのが大好き。
自分の手で「収穫」して食べること。田舎育ちの食いしん坊の本領発揮。
そこで、やったことないメープルシュガー作りがうらやましくて仕方がない。

ローラもアルマンゾ(後にローラの夫になる人)も、それぞれが幼いころにそれぞれの場所でメープルシュガー作りをしているシーンがある。
そしてこれ、「あしながおじさん」にも出てきていた、確か。
やっぱりあれも、アメリカのお話。
「あしながおじさん」の時代設定はいつ頃なのか。「大草原シリーズ」とはどれくらい違うのか分からないけれど。

とにかく、この本を読んで私の「やってみたいこと」リストのかなり上位にこのメープルシュガー作りが入ってきた。
アメリカやカナダへ行けばできるのか?と思いきや、どうやら日本でも北海道ではやっている人がいる模様。
楓の木(種類にもよるのかな?)があればできるもんね。
いつか、どこかでやってみたい、メープルシュガー作り。


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