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【本と食べものと私】いつかイギリスへ、おいしいものを探しに行きたい ー おちゃめなふたご ブライトン著、ほか ー

最近ネットで、「イギリスの食事は洗剤の味がして最悪」という内容の書き込みを何度か目にして、驚愕している。洗剤の、味??
どうやらイギリスは恒常的に水不足で、洗剤で洗った食器を洗い流さずそのまま乾かす、ということがあるらしい。そうやって乾かしたお皿にのせて出された食べ物は、洗剤の味がする、と。情報が少ないのでどのくらいの頻度でそうなのか分からないけど、これは手ごわい、と怯んでしまった。

すでに、いつかメープルシロップを楓の木から採ってみたいと書いたけど、私には食べることに関して、いつかやってみたいことがそれはたくさんある。そのうちの一つが、「イギリスへおいしいものを探しに行きたい」。イギリスの食事はおいしくない、おいしいものがない、という意見をあまりにもたくさん目にするから。いやいや、そんなことないでしょ、と。
でもそのおいしくないと言われる原因のひとつが洗剤のせいだったのかと知って、これはなかかな手ごわい、と思ったわけです。

そもそも私はずっと、イギリスの食事がまずいと言われることが悲しいというか、反発心があった。子どもの頃から。
その原因は明らかに、「おちゃめなふたご」というイギリスの学園生活を舞台に書かれた児童文学のシリーズ。全部で6冊だったかな。

この物語のなかで、寮生活をしている少女たちはときどき(ほぼシリーズ一冊ごとに一回。作者は、読者の子どもたちにとってこのパーティーがとても魅力的であることを分かっていたと思われる。笑)、先生に隠れて「真夜中のパーティー」を決行する。たいていがバレて怒られるわけだけど、その隠れて食べるというスリルも相まって、描かれている食べ物という食べ物がものすごくおいしそうなのだ。子どもの私にとっては手の届かない、未知なる外国の食べ物であるからなおさら。

今、手元にはシリーズの一冊目しかないけど、その「真夜中のパーティーメニュー」をここにあげてみると、ポークパイ、チョコレートケーキ、サーディンにミルクチョコとペパーミントクリーム、かんづめのパイナップルにシャンペン。
またパーティー以外でも、クリームロール、特製のチョコレートケーキ、ソーセージとマッシュポテト、はちみつ入りのプリン、などなど、食べ物がたくさん出てくる。

今こうやって書いてみると、意外とそれほどめずらしくない、普通の食べ物かもしれない。でもかつての私にはものすごく魅力的で、自分もパーティーに参加したくてたまらなかった。それにペパーミントクリームってなに?やっぱり今でも気になる。

もう少し大人になってからも、森瑤子さんの本には「イギリスの食事がまずいなどというのは素人だ。イギリス人は朝からおいしいものを食べている」などと書かれていてそれはぜひ食べてみたいと思い、伊丹十三さんの本ではまたちょっと違う、「労働階級の食べ物」なるものが羅列されており、おいしいという趣旨では書かれていないけど、やっぱり未知なる食べ物への好奇心をかきたてられた。

それに、イギリスにはなんといってもアフタヌーンティーがあるではないか。香り高い紅茶と、さっくりと軽いスコーンにクロテッドクリームとジャム。あの組み合わせを生み出した国の人が、おいしいものを食べていないとは思えない。

ああ、早く現地で確かめたい。いつ行けるかな、イギリス。
でも洗剤は、断じて食べたくないんだけど...



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