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現地の食材で創作料理

海外に住んだ人ならわかると思うが、和食を作るための食材は当たり前だが、日本より少ない。
それでも先人の日本人移民たちのおかげで、工夫された食材、どうやって代用するか、そういうものが伝えられている。
今では輸入品が値段は高いが簡単に手に入る時代になった。
またアメリカに醤油、豆腐、こんにゃくの生産拠点もあり、以前より値段がずっと安くなった。

以前、駐在員のファミリーの奥様たちがメキシコでは和食の食材がそろわないから料理が大変・・・という話を聴いたことがあるが、たしかに私も来た頃はそう感じた。
でも結婚して、主婦になり、お弁当作り、食事作りに真剣に取り組んだ頃、気づいたことがある。
ここは新鮮な野菜、果物が1年中、手に入る。
新鮮な魚介類はなかなか手に入らないけれど、中央卸売市場まで行けば、手に入る。
日系人が作る、豆腐や味噌がある。
カリフォルニアで日系人が手塩にかけて生産した米を買うことができる。
日本人、韓国人、中国人たちが農家にお願いして、生産しているアジアの野菜も日本食材スーパーやアジアスーパーに並んでいる。

ないものでは料理はできない。
あるもので、何が作れるのか。


日系人の先輩お母さんたちから、昔、どうやって材料のない中、料理をしてきたか。
話してもらったことがあるが、そのときはもっと工夫されていた。
たとえば、お寿司の巻物はいつも黄色かったと。
海苔が手に入らないから、薄焼き卵で巻いていたそうだ。
2世の同世代の友人は、海苔巻を食べたとき、「どうして今日は黒いのだろう?」と驚いたそうだ。それが彼女が海苔と出会った思い出。
小麦のトルティーヤにお豆をお砂糖で煮たものをまいて、それがおやつだった話。
メキシコの乾燥塩干エビが粉出汁の代わりだった。
メキシコの米も産地ごとに味が違うが、主婦仲間で食べ比べをして、その結果、チアパスのお米が一番日本の米のように炊けることを発見してこと。
1世、2世、3世の友人たちにこの手の質問をしてみると、みんな、懐かしそうにその話をしてくれる。



私も今ではこの土地で、ある食材で、何が作れるか、考えるのが楽しみにもなっている。
メキシコ料理のあるテイストを和食に取り入れたり、メキシコ食材で和食を作ったり、日本野菜をメキシコ料理に使ったり、組み合わせは無限。
レストランを経営しているわけでもないので、家庭ではなんでもできる。
家族は何でも出したものを食べてくれるのがありがたい。


庭で一晩だけ咲く月下美人の花。

現在雨季。
庭では、時々月下美人が咲く。
メキシコのスペイン語では Dama de Noche.  夜の貴婦人
真夜中に咲いて、かぐわしい香りで私たちを楽しませてくれる優雅な花。
この花は多肉植物の一種でもある。
ハワイに行ってきた主人は「ハワイではこの花は増えすぎて、雑草みたいに扱われるらしい。」と言っていた。
切って、土にさすだけで、すぐにそこに根を下ろす。
生命力のある花。

月下美人の蕾。

日本人の友人ファミリーが一軒家からマンションに引っ越すときに、いただいた鉢。1鉢から今は大きな鉢3つに増えている。

数年前、長男が「この花、中国や台湾では食べるらしいよ。」
レシピを探したら、色々出てきた。
てんぷらはやってみたけれど、水分が多すぎて、あまりおいしくできなかった。

花の咲いた翌日、おしべを取り除き、花を裂いて、20秒ぐらいゆでる。
それを出し醤油で和えたり、甘酢に漬け込んだり。そのとき生姜の千切りを入れるとおいしい・・・・と思っている。

多肉なので、ねばねばつるつるの触感。
ときにはバリエーションをつけて、
チアシード、アマランサスなどメキシコのタネ類をまぜたり、わかめと和えたり、千切りねぎを散らしたり。
最近のヒットはそうめんを一緒にさっとゆでて、そのまま、花が絡まった冷やしそうめんを食べること。つるつる感が倍増していた。

今日は同じ多肉で、同じ触感のメキシコ食材、ウチワサボテンと合わせてみた。ウチワサボンはノパールと呼ばれている食用サボテン
メキシコの食卓には普段の野菜のおかずとして、よく登場する食材。

とげなしのサボテン。スーパーや市場で売られているもの。Nopalと呼ばれている。複数だとNopales 


ウチワサボテンは加熱しても、生でも食べられるが、今回は千切りして、塩もみ、ゆすいだものと月下美人の花をあえてみた。


それをこの花をプレゼントしてくれたおかあさんにお届け。
彼女の大好物。


月下美人とウチワサボテンの酢の物

作り方

  • 前の晩に咲き終えた月下美人を摘み取り、めしべとおしべを取り、咲いておく。硬いところは包丁で切っておく。熱々のお湯に入れ、30秒以内ゆでる。その後ざるに取り、水洗い。

  • ウチワサボテンは千切り。塩を振って、1時間ぐらい置いておく。(一晩でもよし。)その後、水洗い。水切り。

  • 生姜を千切りにしておく。

  • 全部を合わせ、味付けはお好みで寿司酢、出来合いの寿司酢がない場合は砂糖と家にある酢、出汁(鰹節OK)を合わせる。味見しながら、調味料を足していく。

  • できたらゴマをたしたり、メキシコではチアシードを入れたりしています。




ネバネバツルツル同志の月下美人とウチワサボテン。生姜を効かせて。夏の味。

豊かな食材の国に住むことができて幸せ。
まだまだ知らない食材に出会えるかもしれない。



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