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雪かき考

昨日の石油ファンヒーターの他にも、数十年前に信州に越してきて新鮮だったことはいくつかあって、雪かきもそのひとつ。

そんなにどっさりは降らないけど、ワンシーズンに数回は雪かきをしなければならない。10センチ20センチと積もれば、歩くのが大変だし車も出せない。無理に踏んでいくと固まって凍結し、人も車もすべって危ない。

そうそう、その前に、20センチくらい積もったら除雪車というものが発動する。まったく知らなかった私には初め、かなりの衝撃だった。夜中にゴゴゴゴ……という轟音と地響きがして目が覚める。なんだ? 地震か? 戦争か?
その数年前に見ていた映画『存在の耐えられない軽さ』のなかで、暗い夜の街に戦車が侵攻してくるシーンがあったのでそう思った。なかなか怖い音である。

そして朝、外は白い。屋根にも山にも畑にも。昨日まで金属やコンクリートやアスファルトなど、いろんな素材と形と色でごったがえしていた現代の景色が、民話かおとぎ話のやさしい風景に変わる。


でものんびりしてはいられない。特に賃貸住宅に住んでいれば、他の部屋の住人が雪かきを始めるのがひとつの合図となる。車の屋根やボンネットから下ろしたり、専用の大きなスコップで、駐車場の雪を端に寄せたり積み上げたりする。自分だけしていないと目立つし、そこを通らなければならない車の迷惑にもなる。さらに、道や階段などの共有スペースも、誰かがちょっとずつしなければならない。ハードだ。

雪かき時の服装は防水系が望ましい。雪がとけて服が濡れると冷たくなって風邪をひく。ただしダウンコートはお勧めしない。かなりの運動量となるので汗をかき、これまた体を冷やして風邪をひく。靴は滑らないようスノウブーツを。そう、なかなかお金もかかる。

トップ画像は防水手袋をはめた指についた直径2ミリくらいの雪の結晶だ。めったにないことだが、気温が低いと肉眼でも見える。このときはうれしかったなぁ。

そんなには降らないけど、たまに雪を楽しめるのは、信州中部(中信)で暮らして良かったことのひとつだ。


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