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2分の1に憧れて
らんま二分の一という漫画をご存知だろうか。
あらすじとしては主人公の武道家の男の子が昔、修行中に不思議な池に落ちて水をかぶると女の子になってしまう体質を抱えることになるのだが、その後、許婚の女の子の家に居候して、学園や自身を取り巻く様々な問題を解決していくドタバタ日常アクションラブコメディである。
漫画の連載もアニメがやっていたのも私が生まれるよりそれなりに前だが、よく行っていた児童館にコミックが置いてあったため小学生の頃はよく読んでいた、大好きな漫画の1つである。
私はこの体質にとても強い憧れを抱いていた。
お湯をかぶれば男になって水をかぶれば女になって。
そんな風に性別を変えられるなんて夢のようで。
その当時はXジェンダーなんて知らなかったし別に性別で悩んだ事もなかった。
でも強くてみんなから好かれていて、面白くてまけないらんまは私の憧れだった。
自由に性別を変えてみたかった。
でもまぁ謎にリアリストだった私はその不思議な池を探そうなんて思わなかったし、親にも相談しなかったし、好きに性別を変えられるものなんて無いと知っていた。
でも今でもあの体質には憧れる。
むしろ想いは昔より強くなったのではないか。
この思いは親友だけに話したが、その他の友人、親には話す気などないし、確実にバレない自信もある。
女にしかみえない自信がある。
でもこの柔らかい体が嫌になって、高い声が嫌いになって、胸を潰して髪切って男として街を歩きたくなる日がある。
でも女であることを嬉しく思っておしゃれを楽しんで長い髪で遊びたくなることがある。
そして中性的な服を着て、中性的なメイクをして、男としても女としても、又は男でもなく女でもない者として、過ごしていたい時もある。
昔から背が高かった。
小さくなりたいと口では言っても本心は違った。
男装が似合いそうだといわれて
彼氏にちょうどいい身長だと言われて
男の子だったらかっこよかっただろうと言われて
誇らしかった。嬉しかった。
でもどうしようもなく私は女で。
筋肉はつきづらいし声は高い。
顔は女顔だし指は細い。
それが嫌になってホルモン注射や手術を考えたけど。
違う日になればそんなことはしたくないと思い始める。
堂々巡りだ。
不定性ってみんなこうなの?
日によってかわる。時間によって変わる。服によって、一緒にいる人によって、考えも好みも入れ替わっていく。
これはなに?どうすればいい?
らんまのようになれれば気にしなくなるだろうか。
男にも女にもなれればどんなに楽だろうか。
もちろんらんまは元の体も性自認も男の子だから女になる体を疎ましく思っていた。
「嫌ならちょうだい。」
所詮漫画のキャラクターに
何回声をかけそうになっただろうか。
朝起きたら魔法がかかってはいないかと
心のどこかで願っていたのはいつからだろうか。
いいな
いいな
羨ましい
男になりたい
どちらでもなくなりたい
どちらでもありたい。
女でいたい
全て自分の思考回路だ。
無理なんだろう、
諦めるのは。
できないだろう、
叶えるのは。
でもどこか奥底で
今も願わずにはいられない。
二分の一に憧れて
食い違う性質に苦しんで
さて明日はどっちだろう。
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