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「あなたに興味がない」って言われるよりも怖いこと。


「最近どう~?」

こんな風に聞かれるのが20代は少し苦手だった。


「どう?」って何が??
真っ先にそう思うからだ。

「どう?」の中身は、仕事・体調・恋愛・最近見た漫画や映画などなど、
パッと思い浮かぶのは人それぞれ。

求めていない「どう?」を言えば相手は興味を失って、会話が終了する可能性もある。

そんなことは分かっていても、
「どう?」に関して何かあったかグルリと思考を巡らせて話す。

内心、
「『どう?』を具体的に教えてくれ~~~!!!」と思いながら。


でも今、「最近どう?」は、まだ可愛い方だと思っている。

「どう?」すらも聞かれないのが1番困る。
アラフォーになったわたしは、少し達観してしまった。




今年に入って久しぶりにAさんとLINE電話した。たぶん5年ぶりぐらい。

きっかけは、
わたしの年賀状じまいの文言をAさんが見たからだ。

「今年(2024)を最後に、年賀状での挨拶は控えさせていただきます。今後はSNSやLINEで~~」との言葉を受けて連絡してくれた。
ほぼ年賀状だけのやりとりに近かったので、メッセージをくれたのは正直嬉しかった。


「近況を聞かせて」と言われたので日程を合わせて、顔を見ながら約2時間電話した。

しかし約2時間、わたしはAさんからまったく質問されなかった。

この感情は、
「質問してくれないなんて、プンプン!」という怒りではない。
「Aさん、変わってしまったのね…」という悲観でもない。

むしろ、その逆。
「質問がないと、こんな現象が起きるんだ~」
「わたし、俯瞰して物事を見れてる〜」
こんな感じで、なんか新鮮だった。




小さなスマホの画面にお互いの顔が見えた、一発目。

わたしは「元気してた?最近どうなの~?」と、
20代の頃言われるのが苦手だった言葉を発してしまう。

思わず、
「しまった!久しぶりすぎるんだから、『どう』を具体的に聞かないと困っちゃうよね!」と訂正すると、Aさんは「大丈夫だよ」とにっこり笑い、
いろいろな「どう」に関して喋ってくれた。

その間、ところどころ気になることがあったので質問を返す。

Aさんが答えてくれて、別の「どう」に話題が変わる。

別の「どう」の疑問を、また質問する。

するとその質問に答えてくれて、
それに派生したAさんの「どう」に、また話題が変わる。

この状況が1時間半ほど続くと、さすがにわたしも自分のことを喋りたくなるが、まったく聞かれない。
かといって、タイミングを逃しているわけでもない。

例えば、
「そうだね~。最近、在宅ワークもたくさんあるよね。わたしも家で書く仕事してるよ~」と言うと、

「でもWebライターってさ~、友達が言ってたんだけどさ~」という返しが来る。

「え?転職してWebライターしてるの?」って質問されると踏んだが、肩透かしだった。

他にも、
「わかる!三重県も〇〇な特徴あるよ〜」っと言うと、

「地方はそういう傾向だよねー。でもうちの周辺はさ〜」という返しが来る。

「そうか、今三重に住んでるんだっけ?」って質問されるかと思ったけど、またもやスルー。
(わたしは5年前、兵庫県に住んでいた)

所々、話を聞きながら自分のトピックスを混じえてみたけど不発。

ついにわたしのターンがこないまま「充電があと5%」と伝えるとおしゃべりが終わり、電話を切れた。



先日、ライター・エッセイストの佐藤友美さんが特別講師だったWebライターラボの講義で、
「外に出て、人に会う。出先であった人やお店で、最低でも3つ質問することを日課にしたほうがよい」と教わった。

わたしは仕事柄、
飲食店や、もろもろの体験をした後は質問のタイミングを伺って最低1つは質問する。
質問が浮かばないときは「常温保存か冷蔵保存か」など、相手が忙しくなさそうな場合であれば無理やり聞く。(恥)

それが礼儀だと思っているからだ。



また、映画やドキュメンタリーを観た後、自問自答をするのを癖づけている。

これは正解がなくても、
作り手の意図を自分の中で消化したいから。



講義後、
「3つか~!ハードル高いけど、日課にすれば質問力を強化できるし、相手への興味や理解につながるな!」と、意気込んだ。


しかし、
意気込みと同時にAさんから質問されなかったことを思い出して少し心がざわついた。

「質問がない」=「相手へ興味がない」

そんな気がしたからだ。

わたしも「質問が思い浮かばない」ことはザラにある。
相手にすごく興味があっても、いい意味で話に圧倒されると頭がふわふわした感覚になるからだ。

さらに、「質問するのが苦手」という人もいるだろう。
それを否定するつもりは毛頭ない。

ただ、会話はキャッチボール。
話がたとえ途切れても、質問からスタートすればキャッチボールは心地よく続く。


会話ではせめて質問するのが礼儀だと思う。
おうむ返しでもいいから、せめて。


相手の質問を期待して(相手の質問を前提に)会話を進めてもらおうとするのは、ちょっと違う。
質問を相手に委ねまくると、受け手側は苦痛を感じる場合もあるだろう。

Aさんと話していて、わたしは質問を委ねられたように感じた。
だから質問した。

また、わたしも「近況が聞きたい」と言われたから、質問がくるとばかり思っていた。
しかし、質問はなかった。

わたしもわたしでAさんに質問を委ねていたのかもしれない。
だから、お互い様といえばお互い様。

ただ、あまりにも質問がないと「この会話に意味があるのか?」と、
元も子もないことを考えてしまう。


幸い、わたしは聞いているようで聞いていないふりができる。
(何度か自分の話ができないか試みたがダメだったので、最後の30分くらいは夜ご飯何食べようかを考えていた)



その結果、この状況を俯瞰して、
「こう言えばどう返ってくるか?」みたいな、
ゲーム感覚で思考を遊ばせるプチ悪党になった。


ただし、誤解を招きそうなので一言もの申すと、
「話を聞いてほしい」と言われれば、かなり真剣に聞きます。


質問がないのなら無理して「近況聞かせて」ではなく、
「興味がない」と言ってくれたほうが清々しいし、ラクだ。

もちろん、「話したいから聞いて」でも全然OK。

「近況聞かせて」と言われた側が近況を話せないのは少しもどかしい。


近況を聞くのが前提なら、たった1つでもいいから質問してほしい。


これはわたしのエゴなのか?
偏ってる考えなのか?
傲慢なのか?

質問がないだけで「これはなんの時間だ?」と、
こんな風にどうでもいいことを考えてしまう自分も少しイヤ。
「興味がない」と言われるよりも怖いと感じてしまうのだ。





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