パズルしかできなかった頃へ

作りかけのパズルを壊した。
仕事を辞めて何もしたくなくて家も出たくない時に買ったお気に入りのパズル。
大切にゆっくりやって、でもいつからか他にやりたいことややるべきことができて途中のまま止まっていた。
パズルの唯一良くないところは、一人暮らしの部屋で少し場所を取るところだ。

パズルをやる時間がなくなった。
他にもできることが増えた、と思っていいだろうか。

楽しみとして途中のまま残しておこうかとも思ったけど、一旦全部崩して箱に戻すことにした。

このパズルに戻ってくる日は必ずくると思う。
今はまだ居場所を見つけたというよりは模索途中で余裕がないと言った方が正しいし。
でも少しパズル以外のこともできるようになった自分が嬉しい。
初めて少しだけでも前に進めたのかもしれないと思えた。

見える位置に収納されたパズルは、戻ってもいいし戻らなくてもいいと思わせてくれる。
道を変えると決断し日常の変化に戸惑いながらも確かに生きていたあの日のことを、
これからも忘れずにいられる。