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いのちの見送り方

責任の在り処

祖父・祖母をはじめとして、父までは、見送ってきた。
彼らは自分の意志で病院に通い、医師に説明を受け、様々な選択をして治療を進め、その甲斐なく亡くなったり、寿命だったりした。
祖母は認知症で、異なる親族が責任を持って見守って送った。

人間であれば、第一に「本人」が責任をもつだろう。
親族であっても、子供であっても、本人の意志を超えて強制することはよっぽどなことがないかぎり、ない。

ではペットはどうだろう。
ペットが医療を自分で選択することはない。
病気になったらそこが寿命とする考えもある。
治療を継続することで天寿を全うできることだってある。
ではどこまでやるべきか。

ねこさまの病状と年齢

ねこさまは今16歳。
平均寿命を考えてもりっぱなおばあちゃんで、いま亡くなっても大往生だと言えるだろう。
2年前に糖尿病を発症し、2度ほどコントロールが効かず体重が落ちきってしまったこともあった。正直覚悟もした。

しかし今は持ち直して、体重も高めでキープできているくらいに元気だ。

糖尿病のための血液検査を繰り返すうち、気になる数値があった。
白血球などが慢性的に低いのだ。
骨髄に何かしらの異常があるかもしれないが、専門病院にかからないと検査はできない。
当時、専門病院は遠くて、ねこさまには移動だけでかなりの負担だったため受診は見送った。

引っ越しをして、新しい病院にかかった。
やはり数値の低さを指摘され、前の先生よりも明確に不安要素を教えてくれた。
糖尿病があるため、そもそも様々な処置がハイリスクであること。
この数値がこれ以上下がるというのは命にかかわることで、そこから治療、という段階ではないということ。

では専門病院にかかるとどうなるだろう?
ギリギリ通える距離になった専門病院。しかし口コミを見ると「基本の検査10万、プラスで専門検査をして25万」「45万払ったが原因不明。治療も全くできずこの価格」とにかく高額であるということを書いてくれている。
もちろん検査をして治療をして元気になったお礼の口コミもある。

正直、涙も引っ込む価格だ。
いろいろなことを考え直してみる。

いちばんは、ねこさまが穏やかに暮らせること

エコー検査で激怒するねこさま。
注射は平気だけれど、投薬は1週間くらいで本気で嫌がりはじめるねこさま。
病院に2日預けたらそのあと数ヶ月絶不調で、どんどん痩せていきこのままお別れかもしれない、ということもあった。

若ければ体力を信じて迷わずお金をかけただろう。
しかしどのような検査があるか不明で、とにかく今は非常に元気なのだ。
長期的に血尿も出ていて、じわじわと貧血も進んでいる。
本当にここで、全身麻酔や入院を伴う新しい検査に踏み込むべきなのか。

投薬でよくなるかも、とは言われたけれど、その薬とインスリンの相性はおそらくよくない。
腎臓も片方萎縮してしまっているため、強い薬なら耐えられないかもしれない。

人間もそうだ。延命を下手に行うと正しく死ねなくなるというのは、問題になっているだろう。
寿命が来たら、あまり食べられなくなり、枯れるように痩せて、眠る時間が増え、そのまま眠るように亡くなる。
命は枯れゆくものだとしたら、そこに栄養や水を注ぎ続けると破綻することは想像がつく。

ちゃんと老いているこの命に、なにをして、なにをしないべきなのか。
一般の病院でできる範囲以上は、もう寿命だと、思っても良いのではないか。
いま元気に走り回っているこの命を精一杯可愛がるほうがいいのではないか。

いくらお金をかけたって、いつかこの火は消えるのだ。
覚悟をする時間が必要で、もし、みなさまが選んだ道を教えていただけるなら、コメントなどいただけると幸いです。



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