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ある独白「犯人は好奇心」

何もない空間で、1人の少女が語りかける。

吾輩は猫である。名前は夢野歩夢。
このお話の語り部であり、元天邪鬼であり、シュレディンガーの猫であり、チェシャ猫であり、猫又であり、黒猫であり、半死半生の招き猫。磁場にゃん。愛くるしいお茶汲み。

この度は幕間劇にて、茶々を踊りに参上致しました。

ああ、そういえばあの探偵は私の事をよくボスと呼びますが、あれは元天邪鬼である私に対するあてつけのようなものです。下っ端という事に極めて自覚的である私におそらく葉っぱをかけているのでしょう。

(首を傾げる)

葉っぱをかけてどうにかなるのでしょうか?少し嫌な気持ちになるだけで、少なくとも奮起するような気にはならないのでは…?

閑話休題。あの女についての話をしましょう。あの女は…そうは見えないかもしれないし、そうとしか見えないかもしれませんが、気が狂っております。それでいて狂人ではないのだからなおのこと性質が悪い。正しく悪人なのですが、悪気はなく、善行にも励みます。それでいて、可愛い所もあるのですよ?

正直言って、手に余ります。仮に借りて狩り尽くし、ローン地獄に陥っても猫の手ではまだ足りぬ。そんな具合です。

それでも私は健やかに献身的に、病める時も始める時も彼女を支え続けるのでしょう。猫の恩返しは、果たしてそれほど珍しい事でしょうか?

それに…これは悪い予感なのですが、今回の事件は私も無関係では無い気がしています。黒猫を不吉の象徴とする地域もありますし、不幸を招いてしまったかもしれないといういくばくかの罪悪感。そして羞恥心。

生き恥だろうと死に恥だろうと恥は恥です。猫はプライドの種族です。誇り高いのです。

立つ鳥跡を濁さずとは云いますが、あれは鳥が立った跡の事をいちいち覚えていないだけなのではないでしょうか?トリアタマ。私には空を飛ぶものの気持ちがわかりません。


この物語は揺らぎの物語です。数多の世界を旅また旅。視点を整理しながらご賞味頂ければと存じます。


さて。

あの時図書館にいた2人の男子高校生。その失踪事件。招かれたどこか不信な依来人。はてさて、どうなるのでしょうか。それでは引き続き宜しくお願い致します。


どうか。箱の外のあなた様。
どうか彼女を救って下さい。
この物語の迷宮の
ミノタウロスから御守り下さい。
この物語を観測し、
救いの成就をお導き下さい。


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