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シャチの夢

目的はわからないが、私は母か誰かと一緒に、ガラス越しに大きなプールが見える施設を訪れていた。職員に導かれるまま歩みを進めていると、プールの中に大きな黒い影が動いているのを見つけた。

「何かいる!」

といってガラスに張り付いて間もなく、漆黒の身体をしならせて、水面から飛び上がる巨大な生物を目の当たりにした。

「シャチだ!」

今まで生で見たことが無かったので、私はすごく興奮していた。ふと開かれた口の中には鋭そうな白い牙がいくつも見えて、萎縮しそうにもなったけれど、それよりも嬉しさの方が勝っていた。
プールの端まで行くと、イルカショーのイルカのような佇まいで3頭のシャチが並んでいた。うち1頭は小柄で白っぽい身体をしていて、私は「シャチの赤ちゃんだな」と認識した。その子は、シャー!と口を開けて挨拶しているようだった。「意外と怖いな」と2、3歩後ずさりしながらも、やはり心の中では感動の方が勝っているようだった。


そんな夢を見た。

シャチに関しては本当に生で見たことは無くて、フォルムはまだしも、口の中がどうなってるかなんてわからないし、夢の中では「赤ちゃん」と認識していたあの子も、本当にそういう姿なのかどうかもよくわからない。

ただ1つ言えるのは、割とレアな夢を見たよなってこと。
そしてそんな時、私は決まって「夢占い」を検索する。
シャチが出てくる夢なんて、普通そんなに見なくない?
しかも、初めてコロナに感染した初日の夜に見た夢だ。レアな状況でレアな夢を見たものだ。

「夢占い    シャチ」
で検索すると、予想通り記事がヒット。
特にお気に入りのサイトなども無いので、一番上に表示された記事をタップする。

夢占いの面白いところは、単純にとある対象の夢を見たというだけで吉凶が決まるというわけではなく、大体の場合はシチュエーションによって左右されるところだ。
今回も、シャチに対して良い印象を持ったか、怖い目にあったかなどで吉凶が別れていた。
私の場合は、襲われるということは無くて、初めて見ることが出来たことへの感動や嬉しさが大きかったと思う。

シャチは人とのつながりや、やる気の高まり、大きなチャンスなどを表しているのだとか。元気に海を泳ぐ様子は幸運を表すけど、プールのような狭い空間で窮屈そうに泳ぐのは自分が制限された状況にいたり、プレッシャーを感じているサインなのだそう。ただ、窮屈そうな様子が無い場合は運気の高まりを示しているそうで。
今回はプールだったけど大きい施設で、ジャンプもしているくらいだったから窮屈そうな印象は無かった。
素人解釈だが、私は今行動が制限されてはいるけれど、自分の行動次第ではプラスの方向に動かすことができるということだろうか。

初めての感染と療養期間。それは、転職してから長期の連休が取れていなかった私に訪れた唐突な長期休暇。繁忙期と人員不足で、休日返上の働き方に一歩足を踏み入れたくらいのところでのそれだった。
これはある意味、チャンスなのかもしれない。
もちろん発熱や倦怠感などの症状は波のようにやってくる。無理は禁物だが、ベッドで寝転んでいるだけで終わるのはもったいない。

最近できていなかったけど、WEBデザインの勉強を再開しよう。
世界遺産検定やTOEICの勉強を進めよう。
世界史の本を読もう。
ためていた手芸キットに挑戦しよう。
昔購入してなかなか進められていなかったゲームをクリアしよう。
気が付けば、いろいろな「やりたいこと」がむくむくと出てきていた。

海とは比べものにならないくらいに狭いプールだとしても、私は泳ぐのを楽しむのだと思う。
夢の中の、あのシャチのように。

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