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ズボラな私が陶器のお手入れをした話

私はわりとめんどくさがりの質だ。
今の仕事に就いてから、家事やら身の回りのことやら以前よりも細やかにできるようにはなったが、基本的にはズボラなので、短時間で終わらせて自分のやりたいことに取り掛かる。

ところで最近、とてもかわいい食器を購入した。
それは文鳥舎さんのボウル。リムにあしらわれた素朴なイチゴ柄がなんとも可愛い。
本当はプレートを狙っていたが、人気商品のためすぐに売り切れてしまい、同じ柄のボウルを購入することに。
そこで初めて、陶器をお迎えすることになったのだった。
同封のメモに、陶器を初めて使うにあたってのお手入れ方法が書かれていた。

「陶器の目止め」

目止め、という言葉、そして行為を初めて知った。
どうやら陶器には小さな穴がたくさん開いており、そのまま使ってしまうと料理の油ジミや匂いがついてしまうようだ。それを防ぐために、米のとぎ汁や片栗粉・小麦粉を溶いたお湯でしばらく煮沸する必要があるのだという。

その注意書きを読んだ時、私は「めんどくさい」というよりも、「ふむ、そういうことなら、やってみようかな」と、珍しく積極的な気持ちだった。ちょうど休日だったので、家事の合間にやっておこう、みたいな感覚だったのかもしれない。

ご飯を炊く時間帯ではなかったので、とぎ汁ではなく片栗粉を使った方法でTRY。まずはお鍋に水を入れて、陶器のボウルを2つ沈める。大きいお鍋が無かったので、ボウルは逆さまにスタッキングされた状態で浸かった。水が溢れそうだったが、なんとかぎりぎり入った。

その後に片栗粉を大さじ2杯。1回ボウルを退けてから溶けば良かったのだが、ここでズボラが発動した。ボウルの周りにサーっと回し入れ、匙でぐるぐる、水がこぼれないようにかき混ぜる。なんとなく塊が消えたかな?くらいのところで弱火~中火くらいで煮沸を試みる。

ぽこぽこ、とごく小さく噴き出す音が聞こえるか聞こえないかくらいの湯加減で見守る。しかし時折、ボコッ!と大きなバブルを吐き出してお鍋の外に湯が噴出するので、慌てて火加減を調節したり。そうこうしているうちに20分経過したので、つまみを回して火を止める。次のステップは、冷めるまで鍋ごと放置。ここでようやく私は自分の部屋に引っ込んで、勉強を開始した。

弱火で煮沸中の陶器のボウル
ぎりぎりだ

夕ご飯の支度を始める少し前、お鍋はとうに冷めていた。恐る恐るボウルを取り出すと、ぬめ、という感覚が表面にこびりついている。ほんのちょっと生温さが残った水の中には、透明な澱粉の塊がでん、と沈んでいた。
ボウルの表面をお水で流しながら、片栗粉特有のぬめりをとっていく。気のせいかもしれないが、一番最初にボウルを手に取った時のざら、とした感覚は少し滑らかになっていた。デンプン質によるコーティング?を肌で感じながら丁寧にすすいだ後は、しばらく乾燥させて出来上がり。

使い初めのお手入れって、そういえばあまりしたことが無かった。
モノは大切に扱う方ではあるけれど、長く使うための工夫というものを意識していなかったかも。そういうのが必要になってくるモノってそもそもあまり無いのかもしれないけど、だからこそなのか、なんだか特別なイベントのように感じた。

このボウルには、どんな料理が似合うかな。
料理も特段得意ではないけれど、そう考えるだけでも楽しい。
まだ使ってもいないのに、愛着を感じずにはいられない、大切なモノの一つになった。

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