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収穫の文化祭〜塩中ABDレポートVol.4

私がABDの授業をしている塩尻中学校では、先日文化祭がありました。

昨今の時世で一般の入場はできなかったのですが、「地域ふれあい学習」の授業の多くが文化祭での成果発表を目指していたこともあり、幸いにも講師は見学させていただくことができました。

これまでの塩中ABDレポートをお読みいただいた方は、「そういえば夏休みの授業報告が最後で、その後の授業報告はないぞ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
この展示は、主に夏休み以降の成果を発表する場でもありました。

せっかくなのでその文化祭のようすをめぐりながら、夏休み以降の生徒たちの成果をご覧いただければと思います。

展示の風景

ABDの発表は、展示でした。といっても特段発表用に作ったものではなく、授業で使ったあれやこれやがそのまま並んでいます。
生徒たちがアレンジしてくれた展示には、これまでの授業の全てが詰まっていました。

その展示が行われた理科室の入り口。素敵な案内板がありました。

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ABD用に裁断された本も、そのまま並びました。

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展示のメインは、本を選んだ第5回~第8回までの授業で、生徒たちが作った成果物です。

夏休み以降にやったことは、約10人ずつ2班に分かれ、班ごとに選んだ1冊で、自分たちでABDを企画する、というものです。

読む本は、塩尻市立図書館で子どもたちが選んだ本の中から、投票で選ばれました。A班は、『これって同じモノ?違うモノ?』、B班は『現役東大生が教えるゲーム式暗記術』です。

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これらの本を読むにあたって、「どこからどこまで読むか」「どうページを分担するか」「ダイアローグのテーマは何か」など、ABDの細かい「設定」を班ごとに決めてもらいました。

これらの「設定」を書いた用紙は、コ・サマライズでパートごとに読んだ本の内容をまとめた紙とともに、教室を入ってすぐの棚に並べられました。

順番は本の最初から並んでいて、リレー・プレゼンの並べ方と同じです。
そのため、ここを眺めるだけで、展示を見ている人にも本の内容がわかるようになっています。

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教室の前の黒板には、講師である私が作成した講座の概要と、生徒たちが最終回のダイアローグで使用した模造紙が掲示されています。

A班はグループをさらに2つに分けてダイアローグを行ったため模造紙2枚、B班は全員でのダイアローグだったので、模造紙は1枚です。

講師である私は「この模造紙をそのまま展示するよー」と言っただけなのですが、両チームとも成果を見せるため、清書が得意な生徒が綺麗にまとめてくれました。

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黒板の真ん中に大きく見える、「After」の文字。
これは、最後の授業でやったことが深く関係しています。

Afterというのは、最終的な授業(第8回)の模造紙の様子を指しています。
それに対してのBefore、つまり、1回目からこれまでに実施した時の模造紙がどうだったかというと・・・

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こんな感じ。
これらの模造紙もすべて理科室の机の上に展示されていました。(が、写真がうまく撮れなかったので、過去の写真から持ってきました)

これらを比べると、明らかにふせん(一人一人の意見を書いています)の枚数が違ったり、根拠がわかりやすかったり。
じつは第8回の授業の最後、先生が初回の模造紙を持ってきてくださって横に並べてみると、その内容の充実度の差は歴然でした。

講師の私も驚きましたが、生徒たちの驚きはそれ以上でした。
知らず知らずのうちに成長していたという実感は、この文化祭展示の仕方にも影響し、Before⇔Afterの差がはっきりと出る展示となりました。

(ちなみに、黒板上部の概要は下記にリンクを貼っておきます)

自慢したくなる(?)展示

そして、個人的にも私が一番嬉しかったことは、展示をめぐっていた生徒の反応でした。

塩中の文化祭では、他の授業の成果も含め各教室に展示があり、これらをクラスごとにまとまって順番に見学していくスタイルで鑑賞されていました。

あるクラスが教室を訪れたとき、私は教室の隅っこで写真を撮っていました。
すると、ABDの授業に参加してくれた子が、ABDの流れや、これらの模造紙がどういう講座の跡なのかについて、クラスの友達に展示を見ながら自主的に説明してくれていました。

じつは、この講座を企画した当初、文化祭に外部の人たちが来場すれば、生徒たちには自分たちがやってきたことを説明してほしいなと思っていたのです。
それは、生徒たちがやってきたことの価値を大人から評価されるということもありますが、自分自身で学んだことを言葉にすることで、生徒自身もその価値を感じられると思ったからです。

結局、ご時世もあってそれは叶わず、そのため、私から生徒たちに説明を依頼することはありませんでした。

にもかかわらず、まさに私が当初やりたかったような説明を、生徒から自発的に聞くことができたのです。

説明していた生徒はしばらくこちらに気づかず、それを陰からこっそりみていた私。内心、とてもうれしく思いました。
彼女はしばらくして、感動しながらガン見していた私に気づき、ちょっと恥ずかしそうにしていました。

1クラスの見学時間は5分たらずと本当に短い時間でしたが、生徒自身が自分たちが講座でやってきたことを誇り、他の人に説明したくなるならば、それが何よりのことだと思います。

振り返って

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こうして振り返ると、半年間の授業で、生徒たちの成長には目覚ましいものがあります。
この成長は一朝一夕に出来上がったものではなく、連続講座のなかで生徒たちが毎回知らないことにチャレンジし、工夫をしてきた結果、今日の収穫を迎えることができました。

見たことない、やったことない講座にも恐れず挑戦してくれた生徒たちには、感謝しかありません。

そして刻々と変わるご時世にも関わらず、講座を継続し、また文化祭という評価の機会を与えてくださった先生方にも感謝したいと思います。

講座を実施して本当に良かったなと思います。


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