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危機管理のちから

昨年と同様の黄金週間を迎える準備がすでに始まったかのように、昨夜の大阪阿倍野筋の人通りは少なかった。
合気道の稽古の帰り、とぼとぼ歩き、今までに無い日常に浸っていると変な事を思い出す。

母ハルヱは風邪を引かない人であった。
父は冬になるとマスクをしていることが多かったように記憶する。

母は看護師という職業に年齢を若くして就いていた。
海軍病院に奉職したが、怪我をすることも無く感染症に罹患することも無く終戦時を乗り切り生き抜いた。
そして母は病気らしい病気を一つもすること無く、風邪さえ引かずに障害を持つ兄の面倒をみながら私も育て、看護師を続けてきた。

最後はアルツハイマーに侵されてしまったが、母には何か得体の知れない危機管理能力が備わっていたように思える。
母の健康は身体が丈夫だった、だけでは済まされないような何かがあったように思える。

とても綺麗好きであった。
特にトイレ、台所、食卓周りは綺麗にしていた。
そして兄と私にうるさいほどよく寝ろ、よく食べろと言った。
このおかげで免疫力の高い健康体の私がここにいると思う。
風邪一つ引くことなく整形外科以外かかることなくここまで生きてこれたのはそのおかげだと思っている。

『危機管理能力』なんて言葉は本当は好きではない。
サラリーマン時代に出てきた言葉で、なんとなくひっかっかる言葉であった。
母のそれはどの母親もが持ち合わせる『子への情愛』と言ったほうがいいのかも知れない。
そして、たいていの女性が持ち合わせる『母性本能』の中の一つだったのかも知れない。


合気道という武道を少し齧り、世の中に存在する『危険な臭い』や『嫌な予感』を肌で感じることを鍛えてきたと思っている。
武道には勝ち負けばかりでなくそんな側面も持ち合わせていると思っている。
触らぬ神に祟りは無い、決して近づいてはいけない人が世の中に必ずいる、そしていた。
しかし、危害を被る年寄り、女性、こどもがいて、そんな弱い人に手を出す人間はかならずいる。
そんな場面に出くわしてしまい、黙っているわけにはいかず事件にまで発展してしまったことが過去にある。

しかし、この流行り病には同様な臭いや、予感以上のものがあり、それをないがしろに出来る人間には近づこうとは思わない。
これこそ触らぬ神である。

写真は昨年の大型連休中、朝仕事が終わって帰る途中のものである。
急ぎがあり、大阪まで東海道線新快速に乗ると一人の乗客もいなかった。

昨夜の阿倍野筋がそれであったのだ。
ほんの数日前までは自分は関係ないとうそぶく連中が大声で喚き散らす通りが深夜の静かな通りのように変わっていた。

本当に人間はおろかな生き物だと思う。
そしてこの繰り返しはいつまで続くのかと思う。
そろそろ行政の危機管理能力の管理の力の見せ所なんじゃないかと思う。


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